刑法授業補充ブログ

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2015年 04月 21日

【第4講】結果・因果関係

コアカリキュラム
第2章 犯罪の積極的成立要件
【授業内容】
第3節 結果
2-3-1◎行為の客体と保護法益の違いについて理解し、具体的事例に即して説明することができる。
・行為客体
・法益
*法益概念
**法益保護が刑法の目的か?
・法益保護説
・規範保護説
・・道徳規範保護説
・・規範意識強化説
・・規範妥当保護説
私見:刑法における法益(「刑法益(Strafrechtsgut)」)は、刑法的規範の妥当であり、刑法はそれを保護するための法的制度である。
*結果無価値の意義
【文献】増田
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【時間外学習項目】
2-3-2◎侵害犯と危険犯の概念について理解し、具体的犯罪に即して説明することができる。
・侵害犯
・危険犯
・・具体的危険犯
・・抽象的危険犯
2-3-3◎継続犯と状態犯の違いを理解し、犯罪の終了時期について、具体的犯罪に即して説明することができる。
・継続犯
・状態犯
*即成犯概念の必要性?
*公訴時効期間/告訴期間の起算点との関係
2-3-4◎結果的加重犯の意義について理解し、具体的犯罪に即して説明することができる。
*重い結果発生に対する過失の要否
判例:不要説<ー責任主義と調和するか?

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第4節  因果関係
1.因果関係の意義 
2-4-1 実行行為と結果との間に必要となる因果関係の意義について理解し、その概要を説明することができる。
 ・条件関係=実行行為がなければ結果が発生しなかったであろうという関係
 ・相当因果関係=その行為からその結果が発生するのが相当であるという関係
 ・客観的帰属(帰責)論
2.条件関係
2-4-2◎因果関係を認めるために必要となる実行行為と結果との間の事実的な関係について、その内容を理解し、具体的事例に即してその存否を判断することができる。
 ・条件関係=事実的因果関係
 ・「あれなければこれなし」の公式
 ・事実的な公式か?
*結果的加重犯(2-3-4)と因果関係
【事例】
①AはVの飲み物の中に致死量の毒薬を入れた、Bも(Aと意思の連絡なく)同じ飲み物の中に同種同量の毒薬を入れた、Vは致死量の2倍の毒薬の入ったその飲み物を飲んで死亡した。
②Cは、Vを殺害するために射撃手DにVが自宅から出た瞬間に射殺するように命じた。Cは万一Dが裏切った場合に備えて別の狙撃手EにDを尾行させ、DがV宅に向かわなかったり、狙撃しなかった場合にはEが代わりにVを狙撃するように命じた。DはCの命令どおりVを自宅前で射殺した。
③電車の運転手Eは、前方不注意で、踏切内に立ち入った幼児Vに気づかずブレーキをかけずに轢死させた。しかしEがVが踏切内に立ち入った時点でそれに気づき、ブレーキをかけていても、結局間に合わず、同じ結果が生じていたであろうということが判明した。

*いわゆる「合法則的条件の理論」(山中など)について
【文献】増田(一般的因果性木材防腐剤証明
コアカリキュラム
第2章 犯罪の積極的成立要件
【授業内容】
第4節 因果関係(2)
2-4-4◎実行行為から結果発生までの間に介在する諸事情(被害者の素因、被害者の行為、第三者の行為、犯人の行為など)の因果関係判断における意義を評価し、具体的事例に即して因果関係の存否を判断することができる。
 ・法的因果関係
 ・相当因果関係説の危機?
 ・客観的帰属論(山中)
  ・危険の創出/危険の実現
  ・規範的判断(規範の保護目的の理論)
 ・(法的に許されない)危険を創出する行為(実行行為)
  *行為時に存在した特殊事情:主観面の考慮?
  【判例】脳梅毒事件(判例刑法43)
   ・相当因果関係説
    ・主観説
    ・折衷説
    ・客観説ー>故意・過失で限定
    *結果的加重犯の場合
   【判例】結果的加重犯(判例刑法178)
 ・介在事例(故意・過失・無過失の行為)
  ・行為者自身の行為
  【判例】熊うち事件(判例刑法54)、遅すぎた構成要件の実現(判例刑法53)
  ・第三者の行為
  【判例】米兵轢き逃げ事件(判例刑法58)、大阪南港事件(判例刑法59)、
      夜間潜水事件(判例刑法62)、日航機ニアミス事件(判例刑法65)
  ・被害者の行為
  【判例】火傷を負った被害者の水中への飛び込み(判例刑法57)、
      柔道整復師事件(判例刑法49)、高速道路侵入事件(判例刑法51)
      被害者の不適切な行動(判例刑法52)
【事例】
①Aは、Vに軽微な傷害を加えたが、Vは血友病患者であったため、出血が止まらなくなり死亡した。
②Bは第一現場においてVに暴行を加え、脳出血を発生させ意識喪失状態にし、第二現場に運び放置したところ、その現場に通りかかったCがさらにVに暴行を加え、それによってVの死期が若干早まった。
③Dが自動車で走行中、過失により自転車に乗ったVをはね飛ばし、VはDの運転する車の屋根の上に乗った状態になったが、Dはそれに気づかず、自己現場から立ち去る意思で走行を続けた。その後同乗者EがVが屋根の上に乗っているに気づき、引きずりおろして路上に転落させ、Vは死亡した。Vの致命傷となった頭部の傷が、はねられたときに形成されたのか、引きずりおろし行為によるものかは判明しなかった。
④FはVにやけどを負わせたところ、Vは苦痛のために水中に飛び込み心臓麻痺で死亡した。
⑤Gから長期間にわたる激しい暴行を受けたVは、すきをみて逃走し、高速道路に侵入して自動車に衝突し轢死した。
⑥Hは、Vに暴行を加え重傷を負わせ、Vは病院に運ばれ緊急手術をうけたが、そのVが医師の指示に反して安静にしていなかった。Vはその後病状が急変して死亡した。
⑦IはVを強姦した。ショックを受けたVは翌日自殺した。
⑧JはVをクマと見間違えて猟銃を発射し瀕死の重傷を負わせた。苦悶するVを楽にして逃走する目的で、PはVを射殺した。
⑨KはVを絞殺するつもりで首をしめたところ、Vが動かなくなったので死亡したと思い、死体遺棄の故意で穴を掘ってVを埋めた。しかしVは実はまだ生きており、埋められたことにより窒息死した。

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by strafrecht_bt | 2015-04-21 09:00 | 刑法Ⅰ(総論)


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