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2015年 05月 11日

【第7講】錯誤(2) :法律の錯誤

コアカリキュラム
第2章 犯罪の積極的成立要件
【授業内容】
第5節 故意
2 錯誤(続)
(3)事実の錯誤
 ア 具体的事実の錯誤
 (ア)客体の錯誤および(イ)方法の錯誤
2-5-4◎予見していた客体とは異なる客体に法益侵害が生じた錯誤事例における故意犯の成否(具体的事例)
 (ウ)因果関係の錯誤
2-5-5◎因果経過について錯誤が生じた事例における故意犯の成否(具体的事例)
*早すぎた構成要件の実現
*遅すぎた構成要件の実現(ウェーバーの概括的故意)
 イ 抽象的事実の錯誤
2-5-6◎認識・予見した事実と発生した事実とが異なる構成要件に属する事例における故意犯の成否について理解し、具体的事例に即して説明することができる。
(4)法律の錯誤<ーコアカリキュラム第4章/第3節 違法性の意識
4-3-1◎事実の錯誤と違法性の錯誤を区別することにどのような意義があるかを理解し、具体的事例に即して説明することができる。
*違法阻却事由の錯誤は事実の錯誤か法律の錯誤か?
「誤想防衛」の処理
①事実の錯誤説
②二分説
(i)事実的前提の錯誤
(ii)評価自体の錯誤
③法律(違法性)の錯誤説
4-3-2○違法性の意識とは何か(概要説明)
4-3-3◎違法性の意識を欠く場合における犯罪の成否(具体的事例)
①違法性の意識不要説(判例)
②故意説
(i)厳格故意説
(ii)制限故意説
③責任説
*制限責任説/厳格責任説
******
錯誤論(全体のまとめ)
・事実の錯誤:判例の立場(法定的符合説):法定的(実質的)符合の範囲外ー>故意阻却
 ・違法阻却事由の錯誤:判例の立場:前提事実の錯誤ー>故意阻却
・法律の錯誤:判例の立場(「違法性の意識不要説を変更する一歩手前」(山口131)⇒制限故意説?):違法性の意識の可能性(!)なしー>故意阻却
*判例の問題点
(1)法定的な符合を基準としながら、法定的には別の客体(例:覚せい剤と麻薬)についても実質的符合をみとめるのは、基準として一貫していないのではないか?
(2)故意行為を行う際、客体や方法の特定なしにそもそも行為を遂行するのは不可能なので、(何らかの形で)特定していた客体以外に結果が発生した場合(方法の錯誤の場合)には結局、認識・予見のない客体への故意を擬制ないし転用していることにならないか?
(3)違法阻却事由の前提事実の錯誤(特に誤想防衛)の場合、常に故意の阻却をみとめるが、その場合の理論的根拠(特に故意の体系的位置づけ)が示されていないのではないか?ー>いわゆる故意のブーメラン現象
(4)違法性の意識を故意の要素としながら、事実の認識の場合と異なり、現実の違法性の意識ではなく違法性の意識の可能性でありるとしていることの理論的根拠が示されていないのではないか?
**間接故意の理論



中山研一『違法性の錯誤の実体』(2008年・成文堂)書評
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by strafrecht_bt | 2015-05-11 09:00 | 刑法Ⅰ(総論)


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