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2015年 07月 17日

【第15講】罪数論・刑法の適用範囲 

コアカリキュラム
第7章 罪数
短答問題(1)(2)(3)072.gif
(3)は2014年追加→各論
第1節 犯罪の個数
7-1-1○犯罪の個数を決定する基準に関する見解を理解し、その概要を説明することができる。
*学説
①行為基準説
②行為者意思基準説
③法益侵害基準説
④構成要件基準説
*⑤社会的意味基準説
**一罪と数罪(山口180頁)
一罪①単純一罪
 ↑? ②包括一罪
 ↓? ③科刑上一罪
数罪④併合罪
   ⑤単純数罪
第2節 罪数の諸形態
1 法条競合
7-2-1◎法条競合の意義と種類を理解し、具体的犯罪に即して説明することができる。
(1)意義
(2)種類
① 特別関係
② 補充関係
③ 吸収関係
④ 択一関係(これを除外するものとして山中)
*交差関係(山口182頁)
【このような分類方法への批判】この分類は、レベルの異なる形式と根拠の問題を混同したもの:特別関係とは、そこにおいてある法条の優先が表現される形式であるのにに対して、明示的補充関係とは、その特別関係の実定法的規定化であり、また意味連関による補充関係や尽くされた評価による吸収関係はある法条の優先の根拠である。この混同に学説の混乱の理由がある(Jakobs AT 31/17)。
7-2-3◎不可罰的(共罰的)事後行為・事前行為の意義を理解し、具体的事例に即して説明することができる。
*不可罰的事後行為/共罰的事後行為の区別(山口)?
2 包括一罪
7-2-2◎包括一罪の意義と成立要件を理解し、具体的事例に即して説明することができる。
(1)意義
(2)成立要件
3 科刑上一罪
(1)観念的競合
7-2-4◎観念的競合の意義と成立要件を理解し、具体的事例に即して説明することができる。
(2)牽連犯
7-2-5◎牽連犯の意義と成立要件を理解し、具体的事例に即して説明することができる。
(3)かすがい現象
7-2-6◎いわゆる「かすがい現象」の意義を理解し、具体的事例に即して説明することができる。
4 併合罪(実在的競合)
7-2-7○併合罪の意義を理解し、その概要を説明することができる。
【文献】松宮(詐欺の罪数
【授業時間外学習】
第8章 刑法の適用範囲
第1節 刑法の時間的適用範囲
1.罰則の施行
2.犯罪時
8-1-1○犯罪時の意義を理解し、その概要を説明することができる。
3.刑の廃止・変更
8-1-2○犯罪後の刑の廃止・刑の変更の意義を理解し、その概要を説明することができる。
(1)刑の廃止
(2)刑の変更
【条文】刑法6条
第2節 刑法の場所的適用範囲
1.国内犯
8-2-1◎国内犯の意義を理解し、具体的事例に即して説明することができる。
【条文】刑法1条
*①属地主義/属人主義(②積極的属人主義/③消極的属人主義)/④保護主義/⑤世界主義
(1)1条1項(①)
(2)1条2項→「旗国主義」
2.国外犯
8-2-2○国外犯処罰の趣旨(概要説明)
【条文】刑法2~4条の2
(1)全ての者の国外犯(④)
(2)国民の国外犯(②)
(3)国民以外の者の国外犯:被害者が日本国民の場合(③/④)
(4)公務員の国外犯(②/④)
(5)条約による国外犯(⑤)




法条競合の分類
Jakobs説(31/18)による分類
① 記述強度による特別関係(加減類型・結合犯など)
② 既遂への近さによる特別関係(従来の補充関係・共罰的事前行為の一部)・関与強度による特別関係・結果強度による特別関係
③ 随伴行為への特別関係(従来の吸収関係)
④ 先取りによる特別関係(従来の不可罰的事後行為)
なおドイツ法における法条競合についてはPawlik教授の刑法総論講義(II§ 5:競合論)参照
A. 競合論の基礎(参考文献: Geppert, Jura 2000, 598 ff., 651 ff.)
B. 法条競合(Gesetzeskonkurrenz 文献:Fahl, JA 1995, S. 654 ff.)
I. 概観
II. 不真正観念的競合
1. 特別関係(Spezialität)
2. 補充関係(Subsidiarität)
事例(重大な強盗、殺人未遂、危険な傷害: BGHSt 44, 196)
3. 吸収(Konsumtion)
事例 (BGH NJW 2002, 150):ある夜、薬物依存者のAは薬物購入資金としてセルフサービスガソリンスタンドの自動販売機を鉄の棒で抉じ開けてなかから約4000 EURを奪取した。一方自動販売機の損壊に被害額は約10.000 EURに及んだ。
III. 不真正実在的競合(Unechte Realkonkurrenz)
1. 共罰的事前行為(Mitbestrafte Vortat)
事例(BGH NStZ 2001, 539): 鈎状の合鍵(Dietrich)を使って浴場のロッカーから Aは、入浴客Gの B銀行発行キャッシュカードを奪取した。暗証番号(PIN)は一緒に奪った名刺にかかれた電話番号から推測し12ヶ所の現金引き出し機(Geldautomaten)から現金を引き出した。
2. 共罰的事後行為(Mitbestrafte Nachtat)
C. 真正競合(Echte Konkurrenzen)
I. 行為単一(Handlungseinheit)と行為複数(Handlungsmehrheit)
1. 概観
a) 「自然的」意味における行為
b) 「法学的」意味における行為
aa) 概観
bb) 構成要件的行為単一(単位)
aaa) 多行為犯と結合犯(Mehraktige und zusammengesetzte Delikte)
事例:Aは、正午頃、ガス会社の点検員を装って、Oを殴打し、長時間気絶させ、鍵を奪って一旦帰宅し、暗くなった19時頃に、再びO宅を来て、財物を暗闇にまぎれて運び出した。
事例 (BGHSt43, 1:ジュタージスパイ事件)
bbb) 継続犯(Dauerdelikte)
事例: Tは、2年間にわたって3人の非嫡出子に毎月の養育費を支払わなかった。3 x 2 x 12 = 72件の扶養義務違反(§ 170 StGB)の罪?
ccc)特に道路交通犯罪
事例: 1,7パーミルの血中アルコール濃度(BAK)で運転、その影響で損害額2000ユーロの物損事故、事故現場から報告せずに逃走
cc) 自然的行為単一(Natürliche Handlungseinheit 文献:Sowada, Jura 1995, 245 ff.)
aaa) 定義
bbb) 第1類型(Konstellation):構成要件的行為単一の下位事例としての「自然的」行為単一
事例(BGH NStZ1990, 490:殺人)
事例(BGHSt 41, S. 368:Dagobert事件)
ccc)第2類型: 所為単一(Tateinheit)の基礎づけのための構成としての「自然的行為単一」
(a) 出発点
(b)異なる所有者の財の侵害における自然的な行為単一?
事例: A はある夜,職場の倉庫から複数の財物を領得したが、そのなかに所有権がXに留保されたものや、Y銀行に担保として譲渡されたものがあることを認識していた。
事例(BGH NStZ 1996, S. 129): 母親A は4歳の娘Janinaと2歳の息子Jonasを殺害する計画を立て,ホテルの部屋で睡眠薬を水に溶かせてコーラと混ぜて飲ませたが、Janinaその直後吐いたので、殺害に十分ではないと思い、2人を絞殺した 。
(c) 警察官からの逃走における自然的行為単一?
事例(BGHSt 21, S. 67)
dd) 連続犯(Die fortgesetzte Handlung 文献: Geisler, Jura 1995, 74 ff.)
II. 構成要件的行為の部分的Tateinheit bei (Teilkongruenz)における所為単一 (特に:「かすがい作用による所為単一」)
1. 2つの実行行為の部分的同一性(Teilidentität)
事例(BGHSt 43, S. 317:保険金詐欺と偽証)
2. 「かすがい作用による所為単一(Tateinheit durch Klammerwirkung)」(文献: Geppert, Jura 1997, 214 ff.)
事例(RGSt60, 241): Lは、警察アシスタント(Polizeiassistent)としてホール支配人たち(Saalbesitzern)に一定の催し物の閉店時間(Polizeistunde)の延長に関する警察の許可証明書を配達していた。許可書に記されていた料金をLは、 徴収し、警察署に届けていた。ある日Lは許可書上を偽造により料金額を高く書き換え、ホール支配人たちからその増額された金額を徴収し、差額を領得した。
(偽造+詐欺)
*競合論に関するJakobs説
第3部 競合
 第7章 仮象的競合と真正競合
  第31節 仮象的競合(いわゆる法条競合)原文(Leseprobe)
Ⅰ 基本概念と競合論の基本モデル
 Ⅱ 法条競合の諸原理
  A 法条競合の形式としての特別関係
   1 原則
   2 犯罪の事例グループへの法条競合の限定
  B 法条競合の想定のための根拠
 Ⅲ 法条競合の個々の事例グループ
  A 記述強度による特別関係
  B 既遂密度、関与および結果強度による特別関係(補充関係)
  C 随伴行為への特別関係(吸収関係)
  D 先取りによる特別関係(共罰的事後行為)
 Ⅳ 法条競合の作用
  第32節 真正競合および単純な、量的に拡大された構成要件実現における行為の単一性
原文(Leseprobe)
Ⅰ 刑法52条の意味における行為単一
  A 「自然的」意味における行為単一
  B 「自然的」行為の単一の拡張としての法的行為単一
   1. 
   2.
   3.
    a) 主観的単一性
    b) 遂行の単一性
Ⅱ 行為の数と犯罪の数の関係
  A 複数説
  B 単なる量の増加における複数の法律違反の否定
Ⅲ 行為結合的構成要件
Ⅳ 法条競合の作用
  A 集合犯
  B 自然的行為単一
  C 連続関係
第33節 観念的競合と実在的競合
原文(Leseprobe)
I. 観念的競合
 A 累積された帰属
 B 観念的競合の事例グループ
 C かすがい作用の批判
II. 実在的競合
 A 合一刑形成の原則
 B 合一刑形成の方法(Vorgang)
教科書全体の目次
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by strafrecht_bt | 2015-07-17 09:00 | 刑法Ⅰ(総論)


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