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刑法授業補充ブログ

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2016年 10月 03日

法と環境2:環境法の歴史(2)

法と環境
 第2回:環境法の歴史(2)
環境年表(1953-1980)
4大公害裁判
    公害への刑事法的対応
     ①胎児性水俣病刑事判例
     ②公害罪法の制定と判例の展開

公害対策基本法(1967年)
【小テスト】次のカッコ内の空欄に適当な語を入れ又は設問に答えなさい。
「1960年代、日本が達成した高度経済成長は、一方で、公害の発生という事態を伴いました。各地で、健康に被害を与える公害病が問題になったのです。中でも熊本の(①     )病、富山の(②   )病、(③ )病、(④ )ぜんそくは、四大公害病といわれました。いずれも、原因企業はもちろん、国や地方自治体の対応が遅れたため、被害が拡大しました。被害者は、1967年から69年にかけて訴訟を起こし、全て原告側が(⑤勝訴/敗訴←正しい方を選びなさない)。被害者たちの訴えにより、公害病の悲惨な実態が明らかとなりました。そして、立法や行政にも影響を及ぼします。1967年に成立した公害対策基本法には、事業者だけでなく、国や地方自治体にも、公害を防止する責任があることが明示されました。しかし、この法律は、あくまでも経済発展を優先する考え(⑥これを現した条項をなんというか)に立っていました。その後、公害対策基本法は、環境保全を重んじる内容に改正。(⑦どのように改正されたのか)1970年11月末に開かれた臨時国会でのことでした。」
意義と問題点(北村268-269頁)
「基本法」形式の採用
調和条項
「公害」の定義(2条1項):典型7公害=①大気汚染、②水質汚濁、③騒音、④振動、⑤地盤沈下、⑥悪臭、⑦土壌汚染(1970年改正で追加)
放射性物質による汚染の除外(⇒原子力基本法)⇒環境基本法にも継承(旧13条⇒2012年に削除)
公害防止計画(計画的対応)
公害国会(昭和45年第64国会)
公害対策基本法の改正
14の個別法の制定・改正
公害罪法(1971年〔昭和46年〕7月1日施行)
1971:環境庁(現環境省)の設置)
その後の立法
1972:大気汚染防止法(無過失損害賠償責任規定導入)
1973:公害健康被害補償法
四大公害裁判における民法的問題
過失
損害
疫学的因果関係
因果関係の証明責任→新潟水俣病第1次訴訟【百選18】
共同不法行為
疫学的因果関係→特にイタイイタイ病判決【百選19】
小テスト:疫学的因果関係の4要件を示しなさい。




四日市ぜん息損害賠償請求事件【百選3】
過失
受忍限度論
疫学的因果関係論
共同不法行為(客観的共同正論の導入)
損害
過失
受忍限度論
疫学的因果関係論
共同不法行為(客観的共同正論の導入)
損害
共同不法行為
民法第719条
①数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
②行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。
熊本水俣病事件民事判決【百選28】
→水俣病関西訴訟【百選29】:国・県の権限不行使



不法行為責任が認められるための要件のひとつは、加害行為と被害との間に事実的因果関係があることであるが、公害事件においては、それを個別の被害者ごとに証明することが困難な場合がある。そこで、多数の症例を対象として、疾病の原因や発生条件を統計的方法により検証する疫学的証明によって因果関係が推認される。
この方法は、四日市ぜん息事件判決(津地四日市支判昭和47年7月24日判タ280号100頁【百選3】)やイタイイタイ病事件判決(名古屋高金沢支判昭和47年8月9日判タ280号182頁【百選19】)などで採用されている。(北村204頁)
(1)事実的因果関係の立証における「高度の蓋然性」の存在と疫学的因果関係とは、どのような関係に立つのかを説明せよ。
(2)疫学的因果関係が認められるためには、4つの要件を充たすことが必要であるとされている。それは何か。
(3)特異性疾患と非特異性疾患とでは、疫学的因果関係の適用を異にすべきかどうかについて、考え方の対立がある。どのようなことだろうか。

by strafrecht_bt | 2016-10-03 21:58 | 環境刑法


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