刑法授業補充ブログ

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カテゴリ:環境刑法( 24 )


2017年 10月 21日

徳永哲也『プラクティカル 生命・環境倫理――「生命圏の倫理学」の展開(世界思想社)』

紀平知樹「徳永哲也『ベーシック 生命・環境倫理:「生命圏の倫理学」序説』世界思想社」倫理学研究 (44), 164-166, 2014
三浦隆宏「書評 徳永哲也『プラクティカル 生命・環境倫理――「生命圏の倫理学」の展開(世界思想社)』、『倫理学研究』第47号、関西倫理学会編、晃洋書房、169-172頁、2017年


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by strafrecht_bt | 2017-10-21 19:41 | 環境刑法
2017年 09月 25日

川俣事件関連文献

著書:田村紀雄『川俣事件』
森長英三郎『足尾鉱毒事件』日本評論社 1982.3 (日評選書)
三浦 顕一郎『田中正造と足尾鉱毒問題―土から生まれたリベラル・デモクラシー』(有志舎、2017年)
論文:
①「川俣事件」三浦 顕一郎 , Kenichiro MIURA 白鴎大学論集 = Hakuoh Daigaku ronshu : the Hakuoh University journal 26(1), 211-249, 2011-09-01
②「なぜ「直訴」だったのか--正造の政治システム認識と天皇観 (特集 川俣事件・天皇直訴百年)」小西 徳應
救現 (8), 91-109, 2002
③「川俣事件の内側を看る--1900年体制とたたかう正造 (特集 川俣事件・天皇直訴百年)」布川 了
救現 (8), 73-90, 2002
④「源流=問題の湧き出るところ「田中正造と足尾鉱毒問題」の学習 足尾鉱毒・川俣事件百年の2000年、館林で--歴史の真相が広まった「押し出しの再現」 (環境と平和) -- (特集1 研究プロジェクト・〈環境保全と地域再生〉の教育)」松本 美津枝
民主教育研究所年報 (2), 70-93, 2001
⑤「「川俣事件」から一〇〇年」田村 紀雄
公評 37(1), 140-147, 2000-01
⑥「世紀末の1年-10-1900年3月--公害-2-川俣事件」松山 巌
朝日ジャ-ナル 28(10), p64-66, 1986-03-14
⑦森長英三郎「足尾鉱毒事件-31-欠伸事件」
法学セミナ- (309), p130-133, 1980-11
足尾鉱毒事件-30-宮城控訴院
法学セミナ- (308), p110-113, 1980-10
足尾鉱毒事件-29-大審院の逆転判決
法学セミナ- (307), p98-101, 1980-09
足尾鉱毒事件-28-大衆運動と控訴判決
法学セミナ- (306), p98-101, 1980-08
足尾鉱毒事件-27-直訴
法学セミナ- (305), p46-49, 1980-07
足尾鉱毒事件-26-控訴審
法学セミナ- (304), p88-91, 1980-06
足尾鉱毒事件-25-弁論と第一審判決
法学セミナ- (303), p86-89, 1980-05
足尾鉱毒事件-24-第一審公判
法学セミナ- (302), p98-101, 1980-04
足尾鉱毒事件-23-公判準備
法学セミナ- (301), p28-31, 1980-03
足尾鉱毒事件-22-亡国の演説と続々逮捕
法学セミナ- (300), p36-39, 1980-02
足尾鉱毒事件-21-続・川俣での激突
法学セミナ- (299), p36-39, 1980-01
足尾鉱毒事件-20-川俣での激突
法学セミナ- (298), p70-73, 1979-12
足尾鉱毒事件-19-最後の押出し出発
法学セミナ- (297), p140-143, 1979-11
足尾鉱毒事件-18-雲竜寺の鐘が鳴る
法学セミナ- (296), p120-123, 1979-10
足尾鉱毒事件-17-押出しへの準備行動
法学セミナ- (295), p154-157, 1979-09
足尾鉱毒事件-16-鉱毒議会
法学セミナ- (294), p118-121, 1979-08
足尾鉱毒事件-15-川俣事件への胎動
法学セミナ- (293), p118-121, 1979-07

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by strafrecht_bt | 2017-09-25 16:05 | 環境刑法
2017年 01月 23日

ドイツ環境法における予防原則

松村弓彦「ドイツ環境法における予防原則」-その1(序論)-
法律論叢 86(1), 177-224, 2013-07-24
ドイツ環境法における予防原則(その2)
法律論叢 86(6), 245-296, 2014-03-12
ドイツ環境法における予防原則(その3)
法律論叢 87(1), 207-246, 2014-08
ドイツ環境法における予防原則(その4)
法律論叢 87(6), 173-210, 2015-03
ドイツ環境法における予防原則(その5・完)
法律論叢 88(6), 163-198, 2016-03
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by strafrecht_bt | 2017-01-23 21:35 | 環境刑法
2017年 01月 16日

法と環境15:環境刑法と罪刑法定主義(2)

廃棄物処理の仕組み
(参考動画)→知っとく地図帳:清掃工場:小学生向けだが、清掃工場(大阪)の現状を紹介し、廃掃法の歴史にも触れている。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号)
最終改正:平成二七年七月一七日法律第五八号
(定義)
第2条①  この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

(投棄禁止)
第十六条  何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
第五章 罰則
第二十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 (中略)  
十四  第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者
(中略)
2  前項第十二号、第十四号及び第十五号の罪の未遂は、罰する。

第三十二条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一  第二十五条第一項第一号から第四号まで、第十二号、第十四号若しくは第十五号又は第二項 三億円以下の罰金刑
二  第二十五条第一項(前号の場合を除く。)、第二十六条、第二十七条、第二十八条第二号、第二十九条又は第三十条 各本条の罰金刑
2  前項の規定により第二十五条の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、同条の罪についての時効の期間による。

両罰規定の解釈問題
廃棄物の意義
おから事件:最決平成11・3・10【百選46】
「不要物」の解釈
客観説
主観説
総合判断説
罪刑法定主義との関係:明確性原則
「みだりに…捨てる」の意義
野積不法投棄事件:最決平成16・2・20【百選58】
「捨てる」:管理の放棄→自己の支配領域内にある場合でも?
「みだりに」:生活環境・公衆衛生の悪化させる危険性(辰井)

小テスト
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by strafrecht_bt | 2017-01-16 14:42 | 環境刑法
2017年 01月 07日

残余のリスクの意味

残余のリスク(残留リスク、残存リスク)(residual risk, Restrisiko)
残余(残留)リスクとは、あるリスクに対して組織が何らかの対応をした結果、残るリスクの大きさのことである。ちなみに、2009年に国際標準規格として発行された「ISO Guide 73」(リスクマネジメント-用語)では、「リスク対応後に残るリスク」と定義されている。
2006 年に約30 年ぶりに改定された発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針が原子力安全委員 会により発表された。その解説 I,(2)残余のリスクの 存在についてにおいて、リスク低減後の残留リスク である residual risk が示されている。これによると、地震学的見地から、策定された地 震動を上回る強さの地震動が生起する可能性は否定 できず、これは「残余のリスク」(策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより、施設に重大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が方散される事象が発生すること、あ るいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線 被ばくによる災害を及ぼす事のリスク)が存在する ことを意味する。したがって、施設の設計にあたっ てはこれらを十分配慮し、この「残余のリスク」の 存在を十分認識しつつ、それを合理的に実行可能な限り小さくするための努力が払われるべきである、 としている。一定のリスク対応が取られた後でも、このような残余のリスクの存在を認め、さらにその軽減を図る策が取られるべきである。
ただしこの残余のリスクがコスト面から受忍すべきリスクという意味合いで使われることもあり、どのような意味合いでこの概念が用いられれているかに注意すべきである。
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by strafrecht_bt | 2017-01-07 20:39 | 環境刑法
2017年 01月 07日

法と環境14:環境刑法の行政従属性/環境刑法と罪刑法定主義

2017年の最初の授業は環境刑法に関するもの(月曜日の振替授業):受講生5名
・環境刑法行政従属性:行政従属性排除論(伊東)の検討
・環境刑法と罪刑法定主義
類推解釈の禁止
特別刑法(行政刑法)における過失犯処罰と明文の規定:鳥獣保護管理法における禁止区域・期間の不知・錯誤
鳥獣保護管理法における「捕獲」概念と関連問題
明確性の原則
廃棄物概念(次回)

補足:鳥獣保護管理法の罰則規定
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by strafrecht_bt | 2017-01-07 15:57 | 環境刑法
2016年 12月 27日

トランプの主張を科学的に見ると…

ドイツZDFの11月23日放送の番組Terra X- Donald Trump wissenschaftlich geprüftでトランプが選挙戦などで示した「科学的」主張が科学的根拠を全く欠いていることをミュンヒェン大学 Harald Lesch教授(物理学者)が解説 ZDFのホームページから視聴可能。
1 地球温暖化は中国人の捏造(Die globale Erwärmung ist eine Erfindung der Chinesen)
2 アメリカにはクリーン・コールがあと1000年分以上ある。(Kohle kann auch ganz sauber sein)
*clean coal technology
石炭を燃やしたときに発生する二酸化炭素・硫黄酸化物・窒素酸化物などの有害物質を減少させる技術。高品質石炭の選別、石炭の液化・ガス化、脱硫・脱硝装置、集塵装置などの技術をいう。CCT。→そもそもクリーンコールというものがあるのではなく、排出を減少させる技術(例えば、carbon capture and storage)があるだけで、しかも技術的には非常に困難。
3 自閉症はワクチン接種が原因(Impfungen verursachen Autismus)
*この説の元になった論文Volume 351, No. 9103, p637–641, 28 February 1998: Ileal-lymphoid-nodular hyperplasia, non-specific colitis, and pervasive developmental disorder in children(Dr AJ Wakefield, FRCScorrespondencePress enter key for correspondence information, SH Murch, MB, A Anthony, MB, J Linnell, PhD, DM Casson, MRCP, M Malik, MRCP, M Berelowitz, FRCPsych, AP Dhillon, MRCPath, MA Thomson, FRCP, P Harvey, FRCP, A Valentine, FRCR, SE Davies, MRCPath, JA Walker-Smith, FRCP)はデータ捏造が発覚して撤回されている(RETRACTED)。
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by strafrecht_bt | 2016-12-27 16:39 | 環境刑法
2016年 12月 19日

法と環境13:環境刑法と刑罰論

刑罰論と環境刑法
刑罰論の概観
応報刑論
・規範妥当の保護
予防刑論
・ 一般予防
→消極的一般予防:法益保護?
→積極的一般予防:規範妥当の保護
・ 特別予防:危険性の除去:法益保護?
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by strafrecht_bt | 2016-12-19 16:22 | 環境刑法
2016年 12月 12日

法と環境12:環境刑法の意義

環境刑法
環境刑法総論
環境刑法各論
公害刑法類型
公害による人の生命身体への侵害犯
故意犯:殺人罪・傷害罪・傷害致死罪など
過失犯:業務上過失致死傷罪
特殊事例:胎児性水俣病事例
公害による人の生命身体への危険犯:公害罪法上の犯罪
環境刑法類型
廃棄物処理法
軽犯罪法(1条14号、27号)
鳥獣保護管理法
動物愛護法
海洋汚染・海上災害防止法
水質汚濁防止法
その他

軽犯罪法
第1条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
一  (中略)
十四  公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者
二十七  公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
環境刑法の歴史
公害刑法から環境刑法へ
公害刑法
命令前置制から直罰制へ
水濁法などにおける直罰方式の採用
行政法と独立の公害罪法の制定
公害罪法の制定
最高裁による「排出」概念の限定解釈
環境刑法
環境基本法
廃棄物処理法

直罰制

行政法規に規定される義務に違反した場合に、当該違反行為に対して直接に刑事責任を問う(刑罰の対象とする)制度を指す。水質汚濁防止法や大気汚染防止法の排出基準の遵守義務(=基準超過の排出禁止義務)の違反に例があるように、環境法においても多く用いられている。立入検査の拒否や虚偽報告についても、直罰制となっている。無許可行為に対する罰則も、許可取得義務違反に対する直罰制といえる。環境法においては命令前置制が基本であるが、最近ではそれに加えて直罰化の傾向も顕著である。
(北村147頁、182頁、341頁、360頁、375頁、394頁、499頁)
(1)歴史的にみれば、法律による直接的義務づけの違反に対しては、是正などのための命令を発出しておいてその違反を刑罰の対象とする命令前置制が一般的であった。最近では、それが直罰制に移行する傾向がある。なぜだろうか。
(2)廃棄物処理法16条の2の違反に対しては、かつては命令前置制のみによって対応されていた。それに直罰制が加えられたのはなぜだろうか。
(3)直罰制の適用にあたっては、行政と警察がどのような活動をすることになるのだろうか。

*G8バーミンガム・サミット・コミュニケ(1998年5月15-17日)
はじめに
1.我々8ヵ国の主要な民主主義工業国の元首及び首相並びに欧州委員会委員長は、バーミンガムで会合し、我々自身及び他の諸国において人々に影響を与えている問題について議論した。グローバリゼーションがますます高まる世界において、我々は、より一層相互依存的になっている。我々の課題は、グローバリゼーションのプロセスを進めかつ持続させ、あらゆる地域において人々の生活の質が向上するように、より広範にその恩恵が行き渡ることを確保することである。我々はまた、我々の制度及び構造が世界で進行しつつある急速な技術的及び経済的変化に対応するものであることを確保しなければならない。
2.21世紀の始まりを控えた世界が直面する主要な課題の中で、このサミットは、以下の3点に焦点を当てた。
•環境を保護し良い統治を促進しつつ、開発途上国がより急速に成長し貧困を削減することを可能にし、新興アジア経済の成長を回復させ、安定した国際経済において物とサービスの貿易及び投資の自由化を維持するような持続可能な経済成長及び開発の世界的な達成、(中略)
22.我々は、リヨングループに対し、現在進行中の作業を強化するよう求めると共に、ハイテク犯罪に関する行動計画、資金洗浄に対してとられる措置及び人の密輸に関する共同行動についての進捗を次回サミットに報告するよう我々の閣僚に求める。我々はまた、我々の環境大臣の間で4月5日に意見の一致をみた環境犯罪と闘うための措置を歓迎する。
*環境犯罪対策推進計画
 地球環境を守る取組は、人類存続の基盤として人類共通の課題であり、世界各国の政府、国民が各種の分野において不断の取組を進めていかなければならないことは論を待たない。その様々な取組の中でも、近時、環境を破壊する悪質な行為を環境犯罪ととらえ、犯罪対策の強化を推進する動きが国際的に顕著になっているところであり、平成10年5月に開催されたG8バーミンガムサミットにおいても、「環境犯罪と闘うための措置を歓迎する。」旨のコミュニケが合意されているところである。 我が国においては、ダイオキシンを始めとするいわゆる「環境ホルモン」問題等への国民の関心の急速な高まりが顕著になっていることからも明らかなように環境を守るための取組の強化を求める国民の声がますます高まっているにもかかわらず、産業廃棄物の不法投棄が広域にわたって横行するなど、悪質な環境破壊行為が後を絶たず、大きな社会問題になっている。 そこで、警察としては、産業廃棄物不法投棄事犯や野生動植物の不法取引等の環境犯罪に対する取組を強化し、特に我が国で深刻な問題となっている産業廃棄物不法投棄事犯に対する取締りを当面重点的に行うことにより、環境保全を求める国民の要望に応えることが必要である。そこで、以下のとおり、警察において取り組むべき環境犯罪対策を強力に推進することとする。
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by strafrecht_bt | 2016-12-12 16:07 | 環境刑法
2016年 12月 05日

法と環境11:環境倫理学(6)

【補充】生命中心主義(Biocentrism)
生態学的、地球中心主義的な世界観を強調する哲学のこと。生命中心主義は、人間と自然を人間中心主義に見られるような「支配-被支配」という関係ではなく、有機的なつながりを持つ生態系の一員であるにすぎないとみなす。人間以外の構成員は、自然の法則に忠実にしたがっているが、人間のみが自己利益のために自然の法則を無視していると考える。このため、人間は他の構成員に対して、道徳的義務を一方的に負わねばならず、生態系はその倫理的対象となる。つまり、生命中心主義の立場における環境保護は、人間の利益のため行うものではなく、生態系それ自身がもつ価値を守るために行うこととなる。このような生命中心主義は、その後、自然の権利思想へと発展することとなった。

主唱者:
*アルベルト・シュヴァイツァー(Albert Schweitzer, 1875 - 1965:写真)は、ドイツ出身のアルザス人で、ドイツ系の神学者・哲学者・医者・オルガニスト・音楽学者→「生命への畏敬」
*P.W.テイラー(1923-2015)
P. W. Tayler; The Ethics of Respect for Nature. 1981
➀ 人間はこの地球に存立する生命共同体のメンバーである。人間がこのメンバーであるための諸条件は、人間以外のあらゆるメンバーの諸条件と同一である。
② 地球の自然的エコシステムは、もろもろの要素が互いにからみあった一つの全体とみることができる。この全体のなかでおのおのの存在の生物学的な健康(健全な働き)は他の存在の健康(健全な働き)に依存している。
③ 個々の有機体(生きもの)は一個の生きた目的論的な中心であり、自分自身にとっての善いことをそれ独自の仕方で追求している。
④ 人間はその本性にもとづき他の種よりもまさるという要求は、根拠のない非合理的な偏見である。

日本の法学者の見解
北村宣喜:人間中心主義
伊東研祐:人間非中心主義(生態系中心主義)
高橋広次:総合説(人間中心主義+人間非中心主義+環境正義論)
北村喜宣(1960-)の見解
総論:「法学を議論する以上…人間を中心に考えざるをえない」ので→人間中心主義を採用するが、但し「『人間が環境を支配する』という不遜なしせいであってなら」ず、「『環境に行かされている』『自然に感謝する』『環境容量に配慮しながら活動する」という認識が絶えず踏まれるべきである」(北村・環境法10頁)とする。
環境基本法(特に3条)の解釈:「…環境基本法は、人間中心主義の立場に立つことを明らかにしている。法は人類のためにあることから、基本的立場としては適切である」が、「そのうえで、過度の『現在世代中心主義」に陥ることなく、将来世代、生態系、将来の地球を考えた背作を立案・実施しなければならない」(北村・274頁)とする。

環境基本法3条
(環境の恵沢の享受と継承等)
第3条  環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。

伊東研祐(1953-)の見解
生態系中心主義からのアプローチ
環境犯罪を処罰する目的は,環境保全に係る行政規制違反の回復(当該規制の妥当性の確認)だけに止まるものではなく,環境保全に向けた人々の倫理感を覚醒させ,維持すること(刑罰権行使による倫理形成機能)にもあるとされ,環境刑法の保護法益は生態系自体であり,環境犯罪は,この意味での法益に対する抽象的(一具体的)危険犯であると主張された。
環境刑法の保護法益の理解は,環境犯罪の罪質と構成要件の在り方にも関連していることが,改めて認識されるに至った。即ち,保護法益を広く環境の機能それ自体と捉えれば捉えるほど,環境犯罪は,(そうした保護法益に対する)(具体的,更には抽象的)危険犯となる。
更に,環境犯罪は,環境を規制する行政法規に従属するべきものではなく環境倫理の形成を目指して,刑法学の観点から,独自に構成されるべきだ,との理解に至り易いということである。
高橋広次(1948-)の見解
人間非中心主義/人間中心主義の問題点(高橋・環境倫理学入門146頁以下)
人間非中心主義:生物個体に固有のインタレスト(利害関心)、主体性
「権利」はあるか?:「倫理の主体」/「生命の主体」の区別
人間=道徳的行為の「主体」/人間以外の生物=道徳的配慮の「客体」
人間の内なる「種」の尊重
ヨーナス:世代間倫理の典型としての親子関係:
乳飲み子を助ける親の一方的行為⇒倫理的?:自然主義的誤謬?
「乳飲み子倫理」:「倫理学と生物学の先例のない融合」/「どの世代にも科せられる人間的種の維持の問題」(高橋149頁)
「人格の目的」/「自然の目的」
環境正義論の問題点
あくまで近代的な精神(文化)の枠内の議論⇔「持続可能なな社会を生きるためには、近代とは異なった精神になじまなければ、住み難いものとなろう。」(高橋152頁)
「里山」の思想など
*鬼頭 秀一(1951年 - )
*丸山徳次(1948-)
丸山徳次・宮浦富保編『 里山学のすすめ ― <文化としての自然>再生にむけて』(2007)
かつての主流の環境倫理は、人間以外の生き物や生態系の内在的価値(それ自身としての価値)を強調し、そうした生き物を人間のために利用する立場を、環境破壊を助長する人間中心主義と非難してきた。この見解によれば、人間は自然あるいは生態系に介入してはならないことになる。しかし、自然の絶対的な「保存」が常に自然保護に役立つわけでもなければ、人間による自然の利用が必ずしも環境破壊に結びつくわけでもない。ある種の自然環境では、人の手が入ることで多様な種と生物が存続してきた。本書で提起されている「里山学」は、「里山」という人間と自然とが関わる場を体系的に分析および評価する試みと言える。

里山とは
 「里山」とは、広い意味では里山林・田んぼ・ため池・用水路・畦などがセットになった農業環境・農業景観のことを指し、狭い意味では稲作農業に必要な肥料や木材、薪炭をとるための農用林(里山林)のことを指します。 「里山」は、人間が長期にわたって手を入れ利用してきた「文化としての自然」であり、日本人にとっての原風景とも呼べる景観です。
 しかし、エネルギー革命(薪炭から石油・ガス・電気への変化)と農業革命(圃場整備・機械化・化学肥料の大量投入)によって、樹木の伐採や落葉かきなどの伝統的な里山管理が行われなくなり、里山は放置されていきました。 利用価値を失った都市近郊の里山林は、開発のターゲットにもされてきました。
 このような戦後のエネルギー革命や農業革命に伴い、経済活動の広域化がいっそう加速し、伝統的な地域経済を支えてきた里山をめぐる日本文化が次々と失われてきました。 たとえば、里山の持続的利用を可能にしてきた伝統的な森林管理技術、里山の植物利用の知恵、水田稲作に関連した民俗儀礼なども失われつつあります。
 手入れされた里山は、結果的に生物多様性を維持する仕掛けともなり、里山環境に適応した多くの生きものたちの住みかでもありました。 里山の管理放棄・開発・農業様式の変化などによって、いま里山の生物多様性が大きく失われようとしています。


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by strafrecht_bt | 2016-12-05 16:03 | 環境刑法