刑法授業補充ブログ

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カテゴリ:刑法Ⅰ(総論)( 35 )


2015年 04月 08日

【第2講】罪刑法定主義

第2節 罪刑法定主義 (山口8以下)
【文献】松宮増田豊「罪刑法定主義の現在-特にボン基本法体制下における正統化の試みについて-」法律論叢57巻3号115頁以下
1.法律主義の意義(山口9以下)
1-2-1 罰則は法律で定めなければならないとの法律主義の意義を理解し、命令への罰則の委任の限界及び条例における罰則制定の可否について、その概要を説明することができる。
【参照条文】憲法31条(「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」芦部235)、39条(「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」)、73条6号( 「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
・・・六  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」)
【判例】猿払事件(判例刑法2)Wiki(芦部272)、徳島公安条例事件(判例刑法4)Wiki
(芦部198)
過料などの行政処分はともかく、刑罰を科される行為が都道府県等によって異なるのは妥当か?
(外国の例)アメリカ:州ごとに刑法は全く異なる。連邦刑法は特定の分野に限定 
ドイツ:連邦制を採るが,各ラントは罰則制定権を持たない。
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教科書は指定せず、レジュメ(パーワーポイントスライド)を使用して授業を行った(その後学生から「全国的に通用している」(!)標準的な教科書を指定して欲しいという要望があったので山口厚『刑法(第3版)』のページ数を示した)。判例については、新版がでた『判例刑法総論(第6版)』の判例番号で引用する(新判例など、同書に掲載されていないものについては授業時に配布する)。その他の(司法試験受験という観点からみた)文献の解説としては基本書まとめWiki(刑法)

コアカリキュラム
第1章 刑法の基礎理論
第2節 罪刑法定主義(山口8以下)
【授業内容】
2.類推解釈の禁止(山口11以下)
1-2-2◎刑法で類推解釈が許されないことの趣旨を理解し、類推解釈と拡張解釈の限界について、具体的事例に即して説明することができる。
【判例】電気窃盗事件(判例刑法10)ガソリンカー事件(判例刑法11)、明文なき未遂犯処罰(最判平成8年2月8日刑集50巻2号221頁(鳥獣捕獲))、明文なき過失犯処罰(判例刑法222、223、過失の項目でも後述)
(問)類推解釈と拡張解釈の「論理の違い」(山口11)を説明しなさい。
【文献】増田(可能な語義)
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【時間外学習項目】
3.遡及処罰の禁止(山口12以下:事後法の禁止)
1-2-3 遡及処罰(事後法)の禁止の意義について理解し、その概要を説明することができる。
*公訴時効の廃止(山口13)
4.明確性の原則(山口14以下)
1-2-4 罰則が広すぎるため、又は、あいまい不明確であるために違憲無効とされる理由とその要件について理解し、その概要を説明することができる。
(評価)「合憲性に関する判例の具体的な基準はそれほど厳格だとはいえない」(山口16)
*実体的デュープロセスの理論
5.内容の適正さ(山口16以下)
(1)無害な行為を処罰する罰則
(2)過度に広範な処罰規定
6. 罪刑の均衡(山口18)
1-2-5 罪刑均衡の要請について理解し、その概要を説明することができる。
【判例】尊属殺違憲判決(最判昭和48年4月4日刑集27巻3号265頁)Wiki解説

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by strafrecht_bt | 2015-04-08 09:58 | 刑法Ⅰ(総論)
2015年 04月 07日

【第1講】刑法の意義・刑罰論

【授業内容】(基本的にコアカリキュラムに沿って授業を行うが,一部順番を入れ替え,追加項目もあり、いくつかの項目は時間外学習にまわした。
第1章 刑法の基礎理論
第1節 総説
【教科書】山口厚『刑法』(第3版・2011年)
【参考文献】佐伯仁志「刑法の基礎理論」同・刑法総論の考え方・楽しみ方(2013年)1-15頁
西田典之・山口厚・佐伯仁志『判例刑法総論』(第6版・2013年)
【レジュメ】
1.刑法の意義(追加項目) (山口3以下)
◎刑法の意義を理解し、その概要を説明することができる。
(1)形式的意味/実質的意味の刑法
・形式的意味の刑法(「刑法」明治四十年四月二十四日法律第四十五号
・実質的意味の刑法
「犯罪と刑罰の法」=「いかなる行為が犯罪であり、それに対するいかなる刑罰が科されるかを規定した法(山口3)
(2)特別刑法
・刑法
・特別刑法
 ・狭義の特別刑法
 ・広義の特別刑法
【条文】刑法8条(他の法令の罪に対する適用:「この編の規定は、他の法令の罪についても、適用する。ただし、その法令に特別の規定があるときは、この限りでない。」)
(3)刑法と他の法との関係
*民法/行政法との違い
*刑事訴訟法との関係
・実体法ー>(実体)刑法
・手続法ー>刑事訴訟法(刑事手続法)

2. 刑罰論
(1)刑罰の目的(山口4)
1-1-1 刑罰の目的に関する主要な見解を理解し、その概要を説明することができる。
 ・応報刑論
 ・予防刑論
  ・一般予防論
   *消極的一般予防論
   *積極的一般予防論
  ・特別予防論

*目的刑論の意義
**積極的一般予防論の意義(高橋則夫・刑法総論2版12-3頁参照)
***被害者保護論
被害者保護論は上記刑罰論とどのような関係に立つのか?
被害者(の遺族)の応報感情の沈静化は(国家)刑罰目的として相応しいものか?
復讐と応報は同じものか?
なぜ現在では刑罰権は国家に独占されているのか?
*国家制度としての刑罰制度の正当化(一般予防論)/個人処罰の正当化(応報刑論)の区別説(H.L.A.Hart/佐伯5-6頁)は妥当か?
(2)刑罰の種類と内容(山口196以下)
1-1-2 刑の種類・内容を理解し、その概要を説明することができる。
【条文】刑法9条(刑の種類:「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。」)、10条(刑の軽重:「①主刑の軽重は、前条に規定する順序による。ただし、無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い刑とし、有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも、禁錮を重い刑とする。/②同種の刑は、長期の長いもの又は多額の多いものを重い刑とし、長期又は多額が同じであるときは、短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする。/③二個以上の死刑又は長期若しくは多額及び短期若しくは寡額が同じである同種の刑は、犯情によってその軽重を定める。」)、憲法36条(「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」)
ア.生命刑 「死刑」
*死刑の合憲性
絞首刑(刑法11条1項)は刑罰の残虐な執行方法ではないのか?
【判例】死刑合憲判決(最判昭和23年3月12日刑集第2巻3号191頁Wiki
(芦部247)
イ.身体刑(鞭打ちの刑など)→違憲 (通説)
ウ.自由刑 「懲役、禁錮、拘留」
エ.財産刑「罰金、科料、没収」
*没収は刑罰か,保安処分か?
*刑罰と換刑処分(参考判例:判例刑法6)
短答問題(1)(2)072.gif
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【時間外学習項目】
(3) 法定刑・処断刑・宣告刑(山口198)
1-1-3 法定刑、処断刑、宣告刑の意義を理解し、その概要を説明することができる。 *量刑基準
(4)刑の執行猶予(山口198)
1-1-4 刑の執行猶予の趣旨及び要件を理解し、その概要を説明することができる。
072.gif刑の一部の執行猶予改正(新旧対照表)が成立
参考論文
懲役・禁固刑に「一部執行猶予」 改正刑法が成立 072.gif
日経新聞2013/6/13 11:14 (2013/6/13 13:13更新)
 
懲役や禁錮刑の一部を執行した後に残りの刑期を猶予する「一部執行猶予制度」の創設を盛り込んだ改正刑法などが13日午後の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。一部執行猶予は実刑と執行猶予の中間的な刑罰で、薬物使用などの罪を対象とする。猶予期間に円滑な社会復帰につながる準備をさせ、再犯防止を目指す。
 新制度は、3年以下の懲役・禁錮の判決の中で、裁判所が判断し、刑の一部の執行を1年から5年の範囲で猶予する。「懲役2年、うち6カ月を2年間の執行猶予」とする場合、刑務所を1年半で出所した後、2年間再び罪を犯さなければ刑務所に収容されることはない。
 比較的罪の軽い初犯者や、薬物犯罪などが対象で、猶予期間は保護観察を受ける仕組み。保護観察中は、保護観察所が対象者に「特別順守事項」として公共施設の清掃や福祉施設での介護補助などの社会貢献活動をするよう義務付ける。再び罪を犯したり、順守事項を守らなかったりした場合は執行猶予が取り消される。
 再犯率の高い薬物依存者をいち早く社会に出して立ち直りを支援するのが狙いだが、医療機関などの「受け皿」が少ないなど課題も多い。効果的な施策になるかどうかは、政府の態勢整備にかかっている。
 刑法改正案は2011年に国会に提出され、継続審議となっていたが、昨年の衆院解散に伴い、廃案となった。政府は今国会に法案を再提出し、参院で先に審議して5日の参院本会議で可決していた。

(5)仮釈放・仮出場(山口197)
1-1-5 仮釈放の趣旨及び要件を理解し、その概要を説明することができる

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応報刑の理論
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by strafrecht_bt | 2015-04-07 09:00 | 刑法Ⅰ(総論)
2013年 08月 02日

片面的共同正犯(文献)

植田 重正「片面的共同正犯--植松・大塚両家の批判への再検討」関西大学法学論集 24(1・2), 163-184, 1974-06
木田 純一「中義勝「片面的共同正犯」関西大学法学論集第1巻4・5・6合併号(刑事法学の動き)」
法律時報 41(9), 135-136, 1969-08
中 義勝「片面的共同正犯」関西大学法学論集 16(4・5・6), 1-22, 1967-03
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by strafrecht_bt | 2013-08-02 16:25 | 刑法Ⅰ(総論)
2013年 08月 02日

ローリング・ストーンズ事件

BGE113 IV 58
スイス連邦裁判所破棄部( Kassationshof)1987年5月15日 判決
スイス刑法117条(Art. 117 StGB)過失致死(fahrlässige Tötung) (因果関係Kausalität)
【判旨】複数人が一つの (注意義務違反sorgfaltswidrig)行為を決意し、それを分業的に 実行した場合、その全体行為と結果との因果関係が認められれば、関与者全員の可罰性が肯定される。
【事案(Sachverhalt)】
1983年4月21日18時55分頃 AとBは山小屋からの帰りに道端に2つの大きな岩の塊(Steinbrocken)があるのを見つけ、Aの提案により、その岩を崖から下に転がり落とそうとした。崖下の川の左岸には人−特に釣り人がいる場合が多いということを知っていたので、Aの提案によりBが崖際まで出たが、そこからそこから川の左岸を見ることはできなかったので下にむかって誰かいないかと一度大声で叫んだが、返事がなかった。Bは岩のところに戻りより大きな100 kg以上の岩を転がし下に落とし,その直後に今度はAがもう一つの約 52 kgの岩を転がし落とした。 その2つの岩のどちらかが下にいた釣り人Cに当たりCは死亡したが、それがAの落とした岩に当たったのか、Bの落とした岩に当たったのかは認定できなかった。

原文
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by strafrecht_bt | 2013-08-02 10:29 | 刑法Ⅰ(総論)
2013年 08月 01日

【補講】共犯の諸問題

コアカリキュラム
【補講】共犯の諸問題
【講義予定項目】
第1回(2013年8月1日2~4時限)
1. 必要的共犯(山口167頁以下) 
◎必要的共犯(集団犯・対向犯)に対する共犯規定の適用について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-1-3)。
(1) 意義と類型
(2) 多衆犯(集団犯)
・内乱教唆(幇助は特別規定79条)
①否定説(団藤各18・大塚各552)
②肯定説(大谷各552・中森235・西田各412)
・騒乱(106)教唆・幇助
①否定説(団藤181・大塚362・内田427)
②肯定説(藤木各81・大谷各374・曾根各213・中森162・西田各292)
(3) 対向犯(西田374以下、同各400)
ア.類型
(ア)同等的処罰型(重婚等)
(イ)差異的処罰型(賄賂等)
(ウ)片面的処罰型(わいせつ物頒布等)
イ.判例
ウ.学説
(ア)立法者意思説
*但しわいせつ物の販売を必要に迫った場合は可罰的(団藤各432)
(イ)実質説(西田377以下、同各400)
2.片面的共犯(山口173頁以下)
◎片面的共犯の成否について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-3)。
【設例】Aは、BがCをピストルで狙っているのいるのを見て、この機会を利用すれば、かねてから恨みのあったCをより確実に殺害できると思い(Bとの意思連絡なしに)、ほぼ同時にCに向かって発砲した。Cは、これらのうち1発の弾丸が当たったために死亡したが、それがAの撃った弾だったのかBの弾だったのかは認定できなかった。
(1) 意義と類型
(2) 判例
(3) 学説
3.承継的共犯(山口174頁)
◎承継的共犯の成否について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-4)。
(1) 意義と類型
(2) 判例
(3) 学説
4. 共犯関係からの離脱/共犯の中止犯(山口175頁以下)
◎共犯関係の解消・離脱が認められる要件について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-5)。
◎共犯に対する中止犯規定の適用について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-6)。
5.過失の共同正犯(山口177頁以下)
◎過失犯に対する共同正犯規定の適用の可否について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-7)。
【文献】松宮(明石)松宮(三菱自工)松宮(大塚)金子(過失共同正犯)金子(三菱自工)平野潔(明石)
【判例】ローリング・ストーンズ事件判決(スイス
6.結果的加重犯の共犯(山口178頁)
◎結果的加重犯に対する共犯規定の適用の可否について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-8)。
第2回(日程未定)
7.予備の共犯(山口157頁以下)
◎予備罪に対する共犯規定の適用の可否について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-9)。
8.不作為犯と共犯(山口178頁以下)
◎不作為による幇助犯の成立範囲について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-10)。
9.正当防衛・過剰防衛と共同正犯(山口170頁)
◎共同正犯における正当防衛・過剰防衛の成否について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-11)。
10. 共犯と錯誤(山口171頁以下)
◎共犯における錯誤について理解し、具体的事例に即して説明することができる(6-4-12)。
(1) 意義と類型
共犯と錯誤
共犯過剰
(2) 狭義の共犯と錯誤
(3) 共同正犯と錯誤
(4) 共犯形式間の錯誤
11. 中立的行為と幇助
12.まとめ:共犯の処罰根拠論(山口150頁以下)
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by strafrecht_bt | 2013-08-01 10:40 | 刑法Ⅰ(総論)