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カテゴリ:刑法演習( 23 )


2013年 06月 07日

演習問題

以下の事例に基づき、甲及び乙の罪責につき、具体的な事実を適示しつつ論じなさい(特別法違反の点を除く。)。
1 暴力団甲組長である甲は,組員の乙に自己所有の車(以下「A車」という。)を採石場で燃やして処分させようとして、給油所でガソリン10リットルを購入し,A車の後部座席にそのガソリンを入れた容器を置いた上,A車を運転して乙宅に行った。甲は,乙に対し,「この車を廃車にしようと思うが,手続が面倒だから,お前と何度か行ったことがある採石場の駐車場に持って行ってガソリンをまいて燃やしてくれ。ガソリンはもう後部座席に積んである。」などと言い,A車を燃やすよう指示した。乙は,組長である甲の指示であることから,これを引き受けた。甲が以前に乙と行ったことがある採石場(以下「本件採石場」という。)は,人里離れた山中にあり,夜間はひとけがなく,周囲に建物等もない場所であり,甲は,本件採石場の駐車場(以下「本件駐車場」という。)でA車を燃やしても,建物その他の物や人に火勢が及ぶおそれは全くないと認識していた。
2 本件駐車場は,南北に走る道路の西側に面する南北約20メートル,東西約10メートルの長方形状の砂利の敷地であり,その周囲には岩ばかりの採石現場が広がっていた。本件採石場に建物はなく,当時夜間であったので,人もいなかった。
3 乙は,上記南北に走る道路から本件駐車場に入ると,A車を本件駐車場の南西角にA車前方を西に向けて駐車した。本件駐車場には,以前甲と乙が数回訪れたときには駐車車両はなかったが,この日は,乙が駐車したA車の右側,すなわち北側約5メートルの地点に,荷台にベニヤ板が3枚積まれている無人の普通貨物自動車1台(B所有、以下「B車」という。)が A車と並列に駐車されていた。また,その更に北側にも,順に約1メートルずつの間隔で,無人の普通乗用自動車1台(C所有、以下「C車」という。)及び荷物が積まれていない無人の普通貨物自動車1台(D所有、以下「D車」という。)がいずれも並列に駐車されていた。しかし,本件駐車場内にはその他の車両はなく,人もいなかった。当時の天候は,晴れで,北西に向かって毎秒約2メートルの風が吹いていた。また,A車の車内のシートは布製であり,後部座席には雑誌数冊と新聞紙が置いてあった。
4 乙は,それら本件駐車場内外の状況,天候や車内の状況等を認識した上,「ここなら,誰にも気付かれずにA車を燃やすことができる。しかし風向きからみて他の車に火が燃え移ることもあるかもしれないが、その場合はやむをえない。」と考え,その場でA車を燃やすこととした。
5 乙は,A車後部座席に容器に入れて置いてあったガソリン10リットルをA車の車内及び外側のボディーに満遍なくまき,A車の東方約5メートルの地点まで離れた上,丸めた新聞紙にライターで火をつけてこれをA車の方に投げ付けた。すると,その火は,乙がまいたガソリンに引火し,A車が炎上した。6 その炎は,地上から約5メートルの高さに達し,時折,隣のB所有の普通貨物自動車の左側面にも届きB車も炎上するに至った。間もなく同じ風向きの風速が風速約5メートルに早まっために、その他の2台の駐車車両にも次々と燃え移り、B車、C車、D車は焼損し、使用することができない状態になった。
(関連問題)事案4および6が次のようなものであった場合はどうか?
4 乙は,それら本件駐車場内外の状況,天候や車内の状況等を認識した上,「ここなら,誰にも気付かれずにA車を燃やすことができる。他の車に火が燃え移ることもないだろう。」と考え,その場でA車を燃やすこととした。
6 その炎は,地上から約5メートルの高さに達し,時折,隣のB車の左側面にも届いたが,間もなく風向きが変わり,南東に向かって風が吹くようになったため,B所有の普通貨物自動車は,左側面が一部すすけたものの,燃え上がるには至らず,その他の2台の駐車車両は何らの被害も受けなかった。

出題の趣旨
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by strafrecht_bt | 2013-06-07 09:43 | 刑法演習
2013年 06月 06日

演習問題

【問題】以下の事例に基づき、KおよびSの罪責につき、具体的な事実を適示しつつ論じなさい(特別法違反の点を除く。)。

1 時計好きのK大学法学部I教授は同僚で学部長のK教授に自分の時計を見せびらかし、「これはジャガールクルトのデュオメトル・クロノグラフで価格は700万円以上するものだ」と自慢していた。しかし実はその時計はI教授がアジアの某国に旅行した際に偽物と知りつつ1万円で購入したものであった。
2 ある夜K教授が自宅近くの人気のない公園を散歩していると,池の方から助けを求める声がするので行ってみると誤って池に落ちたI教授が助けを求めていた。池のほとりには緊急用のロープのついた救命浮き輪が用意されており、それを投げ入れることでI教授を救助することは容易に可能であった。しかしKは当初見て見ぬふりをして通り過ぎようとしていたが、時計のことを思い出し「手間賃としてその腕時計をはずしてこちらに投げて渡せば助けてやる」といって、Iをして実際にそうさせて、その時計を拾って自分のポケットの中に入れた。しかしKは最初からIを助ける気などなく、そのまま時計を持ってその場を立ち去ったので、Iは溺死した。
3 翌日、Kは後輩の釣りマニアとして知られるが、実は時計マニアでもあるS教授に前日の出来事を話してその時計を見せたところ、Sもその時計が本物であると確信したが、Kに対して「先生、残念ながらこれはよくできているが密輸された偽物で売ることはできませんよ」と告げたところ、Kはがっかりして、「もういらないから君にあげるよ」といって、その時計をSに渡して帰宅した。ところが、Sが業者にその時計を売ろうとしたところ、業者は偽物であることを見破ったため買い入れを拒否された。
(なおこの事例における登場人物は実在の人物ではありません。)

出典
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by strafrecht_bt | 2013-06-06 06:48 | 刑法演習
2013年 04月 01日

春学期開講科目

講義科目(未修者)
(火1) 刑法1:4/9
演習科目(既修者)
(火2) 刑事法総合演習/(2組)刑法の部担当・隔週
(火2) 刑事法総合演習/(3組)同上
(木4) 刑法演習2(5組)
(木5) 刑法演習1(2組)
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by strafrecht_bt | 2013-04-01 13:00 | 刑法演習