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カテゴリ:刑法Ⅱ(各論)( 21 )


2017年 03月 27日

参考人として警察官に対して犯人との間の口裏合わせに基づいた虚偽の供述をする行為が刑法(平成28年法律第54号による改正前のもの)103条にいう「隠避させた」に当たるとされた事例

平成27(あ)1266
事件名  犯人隠避,証拠隠滅被告事件
裁判年月日  平成29年3月27日
法廷名  最高裁判所第二小法廷
裁判種別  決定
結果  棄却
判例集等巻・号・頁  
原審裁判所名  東京高等裁判所
原審事件番号  平成26(う)1409
原審裁判年月日  平成27年7月8日
判示事項  参考人として警察官に対して犯人との間の口裏合わせに基づいた虚偽の供述をする行為が刑法(平成28年法律第54号による改正前のもの)103条にいう「隠避させた」に当たるとされた事例
裁判要旨  道路交通法違反,自動車運転過失致死の各罪の犯人がAであると知りながら,Aとの間で,事故車両が盗まれたことにする旨口裏合わせをした上,参考人として警察官に対して前記口裏合わせに基づいた虚偽の供述をした本件行為は,刑法(平成28年法律第54号による改正前のもの)103条にいう「隠避させた」に当たる。
(補足意見がある。)
参照法条  刑法(平成28年法律第54号による改正前のもの)103条


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by strafrecht_bt | 2017-03-27 08:21 | 刑法Ⅱ(各論)
2017年 03月 14日

イスタンブール条約

第36条-性暴力(強姦を含む)
1.締約国は、故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。
a. 同意に基づかず、他の者の身体に対し、いずれかの身体部位または物をもって膣、肛門または口への性的性質の挿入行為を行なうこと。
b. 人に対し、同意に基づかない他の性的性質の行為を行なうこと。
c. 他の者をして、同意に基づかない性的性質の行為を第三者と行なわせること。
2.同意は、自由意思の結果として、自発的に与えられなければならない。当該自由意思は、関連する状況の文脈において評価される。
3.締約国は、1の規定が、国内法で認められた従前のまたは現在の配偶者またはパートナーに対して行なわれた行為にも適用されることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。

関連論文:今井雅子「欧州評議会『イスタンブール条約』 (特集 女性差別撤廃委員会とジェンダーに基づく暴力)」国際女性 : 年報 (29), 84-88, 2015-12
Das reformierte Sexualstrafrecht –Ein Überblick über die vorgenommenen Änderungen
女性への暴力撲滅に尽力するEU

女性に対する暴力は、伝統、宗教、政治的状況以外に、男女間での経済力の差、権利の違いを理由に起きる。EU では、ドメスティックバイオレンス(DV)、性的暴力、性的嫌がらせのほか、強制結婚、人身売買、性器切除、名誉関連の暴力も女性に対する暴力と定義付けている。被害を受けるのは当事者だけではない、その家族、友人、近親者、ひいては社会全体の発展を蝕むがゆえに、EUは女性に対する暴力撲滅に尽力してきた。

© European Union, 1995-2016

2012年のEU指令では、性差に基づいた暴力、性的暴力、DV被害者の擁護と支援、被害者の最低限の権利を定めている。2014年に発効した欧州評議会の条約(イスタンブール条約)は、女性に対する暴力およびDVの予防と撲滅に関する協定で、女性に対する精神的暴力、ハラスメント、身体的暴力、性的暴力、性的嫌がらせに対する法的拘束力をもち、予防、被害者の擁護と加害者の告訴に関する最低限の基準を定めたものだ。また、2015年1月11日に発効したEU加盟国内における暴力の被害者保護では、EU加盟国内では、暴力の被害者はどこの国に移動しても同じレベルの庇護を受けることができるようになった。

2014年、EU基本権機関(European Union Agency for Fundamental Rights、FRA)が4万2,000人の女性を対象としたアンケートの調査結果「Violence against women: an EU-wide survey」によると、15歳以上の女性のうち10人に1人は性的暴力、20人に1人はレイプの被害を受けたことがある。また5人に1人は身体的あるいは性的暴力を現在のパートナー、あるいは過去のパートナーから受けたことがあり、10人に1人は15歳以下のときに幼児愛(ペドフィリー)の被害に遭っている。しかし、現在のパートナーによる暴力を警察に届け出るのは、被害者のわずか14%。他人から受けた暴力を届け出るのも13%に留まっている。

このように告訴する女性が少なく正確な統計をとることができないことが、女性に対する暴力の特徴の一つであるが、同時に、統計結果の短絡的な理解にも注意すべきである。たとえば、フィンランド、スウェーデン、デンマークでの女性に対する暴力件数は統計上多いが、男女平等が進んでいるがゆえに被害届けを出すことをためらわない女性の率が比較的多いことも考慮に入れるべきであろう。

また、被害者が身を守るための司法システムに関する情報が市民の間に行き渡っていないことも、女性に対する暴力の特徴のひとつである。そのため、欧州委員会は「権利、平等、市民権2014年—2020年」というプログラムを立ち上げ、4億3,900万ユーロを拠出し、女性と女子に対する暴力に対する市民の意識を高めるためのキャンペーン、性器切除や名誉犯罪、強制結婚に対する予防運動をしている。



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by strafrecht_bt | 2017-03-14 15:41 | 刑法Ⅱ(各論)
2017年 03月 11日

ドイツ性刑法規定 177条

新規定[1998年4月1日]:
第177条 性的干渉(Sexueller Übergriff)性的強要、強姦
①他の者の認識可能な意思に反してその者への性的行為を行い若しくはその者に行わせ又はこの者を第三者へのあるいは第三者による性的行為の遂行若しくは受忍を決意させた者は、6月以上5年以下の自由刑に処す。
②他の者への性的行為を行い若しくはその者に行わせ又はこの者を第三者への若しくは第三者による性的行為の遂行若しくは受忍を決意させた者も、
一 その者が抵抗する意思を形成しあるいは表示することができる状況にないことを、行為者が利用し、
二 その者が身体的又は精神的状態のゆえに意思の形成あるいは表示が著しく制限されていることを行為者が、その者の同意があることを自ら担保せずに、利用し、 
三 驚いた瞬間を行為者が利用し、
四 被害者に抵抗した際に重大な害悪が加えられる恐れがある状況を行為者が利用し、又は
五 行為者がその者に重大な害悪を伴う脅迫により、性的行為の遂行あるいは受忍を強要したときは、
同じく処罰される。
③未遂は可罰的である。
④意思を形成又は表示する能力がないことが、被害者の疾病又は障碍によるときは、1年以上の自由刑を言い渡すものとする。
⑤行為者が、
一 被害者に対して暴行を用い、
二 被害者に身体若しくは生命に対する現在の危険をもって脅迫し、又は
三 被害者が保護のない状態で行為者の影響下に委ねられている状態を利用したときは、
1年以上の自由刑を言い渡すものとする。
⑥ 犯情の特に重い事案では,刑は2年以上の自由刑を言い渡すものとする。犯情の特に重い事案とは,原則的に
一 行為者が,被害者と性交をし,又は,特に被害者を辱める,とりわけ,身体への挿入と結びつけられる(強姦),類似の性的行為を,被害者に対して行い,若しくは, 被害者に自己に対して行わせたとき,又は
二 行為が複数の者により共同して行われたとき
である。
⑦行為者が、
一 凶器若しくはその他の危険な道具を携帯したとき
二 暴行若しくは暴行を加える旨の脅迫により,他の者の反抗を阻止若しくは克服する目的で,道具若しくは手段を携帯したとき,又は
三 被害者を重い健康障害の危険にさらしたときは、
3 年以上の自由刑を言い渡すものとする。
⑧行為者が、
一 行為の際に凶器若しくはその他の危険な道具を使用したとき,又は
二 被害者を2a 行為の際に身体的に著しく虐待したとき,若しくは
b 行為により死亡の危険にさらしたときは、
5 年以上の自由刑を言い渡すものとする。
⑨ 第1項及び第2項のうち犯情があまり重くない事案では,3月以上3年以下の自由刑を,第4項及び第5 項のうち犯情があまり重くない事案では,6月以上10年以下の、第7項及び第8項のうち犯情があまり重くない事案では,1 年以上 10 年以下の自由刑を言い渡すものとする。
新規定 [10. November 2016]旧規定 [1. April 1998]
§ 177. Sexueller Übergriff; sexuelle Nötigung; Vergewaltigung」第177条 性的干渉:性的強要、強姦§ 177. Sexuelle Nötigung; Vergewaltigung:第177条 性的強要,強姦)
(1) Wer gegen den erkennbaren Willen einer anderen Person sexuelle Handlungen an dieser Person vornimmt oder von ihr vornehmen lässt oder diese Person zur Vornahme oder Duldung sexueller Handlungen an oder von einem Dritten bestimmt, wird mit Freiheitsstrafe von sechs Monaten bis zu fünf Jahren bestraft.:①他の者の認識可能な意思に反してその者への性的行為を行い又はその者に行わせ又はこの者を第三者へのあるいは第三者による性的行為の遂行あるいは受忍を決意させた者は、6月以上5年以下の自由刑に処す。(1) Wer eine andere他の者を・・・者は、
(2) Ebenso wird bestraft, wer sexuelle Handlungen an einer anderen Person vornimmt oder von ihr vornehmen lässt oder diese Person zur Vornahme oder Duldung sexueller Handlungen an oder von einem Dritten bestimmt, wenn:②他の者への性的行為を行い又はその者に行わせ又はこの者を第三者へのあるいは第三者による性的行為の遂行あるいは受忍を決意させた者も、・・・のときは、同じく処罰される。Person:[者を]
1. der Täter ausnutzt, dass die Person nicht in der Lage ist, einen entgegenstehenden Willen zu bilden oder zu äußern,一 その者が抵抗する意思を形成しあるいは表示することができる状況にないことを、行為者が利用し、1. mit Gewalt,暴行を用い
2. der Täter ausnutzt, dass die Person auf Grund ihres körperlichen oder psychischen Zustands in der Bildung oder Äußerung des Willens erheblich eingeschränkt ist, es sei denn, er hat sich der Zustimmung dieser Person versichert,:二 その者が身体的又は精神的状態のゆえに意思の形成あるいは表示が著しく制限されていることを行為者が、その者の同意があることを自ら担保せずに、利用し、 
3. der Täter ein Überraschungsmoment ausnutzt,:三 驚いた瞬間を行為者が利用して
4. der Täter eine Lage ausnutzt, in der dem Opfer bei Widerstand ein empfindliches Übel droht, oder:四 被害者に抵抗した際に重大な害悪が加えられる恐れがある状況を行為者が利用し、又は
5. der Täter die Person zur Vornahme oder Duldung der sexuellen Handlung durch Drohung mit einem empfindlichen Übel genötigt hat.:五 行為者がその者に重大な害悪を伴う脅迫により、性的行為の遂行あるいは受忍を強要した・・
2. durch Drohung mit:二 ・・・を伴う脅迫により,
(3) Der Versuch ist strafbar.:③未遂は可罰的である。
(4) Auf Freiheitsstrafe nicht unter einem Jahr ist zu erkennen, wenn die Unfähigkeit, einen Willen zu bilden oder zu äußern, auf einer Krankheit oder Behinderung des Opfers beruht.:④意思を形成又は表示する能力がないことが、被害者の疾病又は障碍によるときは、1年以上の自由刑を言い渡すものとする。
(5) Auf Freiheitsstrafe nicht unter einem Jahr ist zu erkennen, wenn der Täter:⑤行為者が、・・・1年以上の自由刑を言い渡すものとする。
1. gegenüber dem Opfer Gewalt anwendet,:一 被害者に対して暴行を用い、
2. dem Opfer mit gegenwärtiger Gefahr für Leib oder Leben droht oder:二 被害者に身体若しくは生命に対する現在の危険をもって脅迫し、又はgegenwärtiger Gefahr für Leib oder Leben oder:身体若しくは生命に対する現在の危険・・・、又は
3. eine Lage ausnutzt, in der das Opfer der Einwirkung des Täters schutzlos ausgeliefert三 被害者が保護のない状態で行為者の影響下に委ねられている状態を利用し[た]3. unter Ausnutzung einer Lage, in der das Opfer der Einwirkung des Täters schutzlos ausgeliefert ist,三 被害者が保護のない状態で行為者の影響下に委ねられている状態に乗じ
ist.:たときは、nötigt, sexuelle Handlungen des Täters oder eines Dritten an sich zu dulden oder an dem たTäter oder einem Dritten vorzunehmen, wird mit Freiheitsstrafe nicht unter einem Jahr bestraft.;行為者若しくは第三者の性的行為を甘受するように,又は,行為者若しくは第三者に対 して性的行為を行うように,他の者を強要した者は,1 年以上の自由刑に処する。
(6) [1] In besonders schweren Fällen ist aufFreiheitsstrafe nicht unter zwei Jahren zu erkennen.:⑥ 犯情の特に重い事案では,は2以上の自由刑を言い渡すものとする [2] Ein besonders schwerer Fall liegt in der Regel vor, wenn犯情の特に重い事案とは,原則的に・・・である。
(2) [1] In besonders schweren Fällen ist die Strafe Freiheitsstrafe nicht unter zwei Jahren.:② 犯情の特に重い事案では,は2以上の自由刑とする。 [2] Ein besonders schwerer Fall liegt in der Regel vor, wenn:犯情の特に重い事案とは,原則的に・・・である。
1. der Täter mit dem Opfer den Beischlaf vollzieht oder vollziehen lässt oder ähnliche sexuelle Handlungen an dem Opfer vornimmt oder von ihm vornehmen lässt, die dieses besonders erniedrigen, insbesonderewenn sie mit einem Eindringen in den Körper verbunden sind (Vergewaltigung), oder一 行為者が,被害者と性交をし,又は,特に被害者を辱める,身体への挿入と結びつけられる(強姦),類似の性的行為を,被害者に対して行い,若しくは, 被害者なったとき,又は1. der Täter mit dem Opfer den Beischlaf vollzieht oder ähnliche sexuelle Handlungen an dem Opfer vornimmt oder an sich von ihm vornehmen läßt, die dieses besonders erniedrigen, insbesondere, wenn sie mit einem Eindringen in den Körper verbunden sind (Vergewaltigung), oder;一 行為者が,被害者と性交をし,又は,特に被害者を辱める,とりわけ,身体への挿入と結びつけられる(強姦),類似の性的行為を,被害者に対して行い,若しくは, 被害者に自己に対してわせたとき,又は
2. die Tat von mehreren gemeinschaftlich begangen wird.二 行為が複数の者により共同して行われたとき2. die Tat von mehreren gemeinschaftlich begangen wird.:
二 行為が複数の者により共同して行われたとき
(7) Auf Freiheitsstrafe nicht unter drei Jahren ist zu erkennen, wenn der Täter:行為者が、・・・は,3 年以上の自由刑を言い渡すものとする。(3) Auf Freiheitsstrafe nicht unter drei Jahren ist zu erkennen, wenn der Täter:行為者が、・・・は,3 年以上の自由刑を言い渡すものとする。
1. eine Waffe oder ein anderes gefährliches Werkzeug bei sich führt,一 凶器若しくはその他の危険な道具を携帯したとき1. eine Waffe oder ein anderes gefährliches Werkzeug bei sich führt,:一 凶器若しくはその他の危険な道具を携帯したとき
2. sonst ein Werkzeug oder Mittel bei sich führt, um den Widerstand einer anderen Person durch Gewalt oder Drohung mit Gewalt zu verhindern oder zu überwinden, oder二 暴行若しくは暴行を加える旨の脅迫により,他の者の反抗を阻止若しくは克服する目的で,道具若しくは手段を携帯したとき,又は2. sonst ein Werkzeug oder Mittel bei sich führt, um den Widerstand einer anderen Person durch Gewalt oder Drohung mit Gewalt zu verhindern oder zu überwinden, oder:二 暴行若しくは暴行を加える旨の脅迫により,他の者の反抗を阻止若しくは克服する目的で,道具若しくは手段を携帯したとき,又は
3. das Opfer in die Gefahr einer schweren Gesundheitsschädigung bringt.被害者を重い健康障害の危険にさらしたとき3. das Opfer durch die Tat in die Gefahr einer schweren Gesundheitsschädigung bringt.:行為により被害者を重い健康障害の危険にさらしたとき
(8) Auf Freiheitsstrafe nicht unter fünf Jahren ist zu erkennen, wenn der Täter行為者が、・・・は,5 年以上の自由刑を言い渡すものとする。 (4) Auf Freiheitsstrafe nicht unter fünf Jahren ist zu erkennen, wenn der Täter:行為者が、・・・は,5 年以上の自由刑を言い渡すものとする。
1. bei der Tat eine Waffe oder ein anderes gefährliches Werkzeug verwendet oder一 行為の際に凶器若しくはその他の危険な道具を使用したとき,又は1. bei der Tat eine Waffe oder ein anderes gefährliches Werkzeug verwendet oder:一 行為の際に凶器若しくはその他の危険な道具を使用したとき,又は
2. das Opfer: 二 被害者を2. das Opfer: 二 被害者を
a) bei der Tat körperlich schwer misshandelt oder:a 行為の際に身体的に著しく虐待したとき,若しくはa) bei der Tat körperlich schwer mißhandelt oder;a 行為の際に身体的に著しく虐待したとき,若しくは
b) durch die Tat in die Gefahr des Todes bringt.b 行為により死亡の危険にさらしたときb) durch die Tat in die Gefahr des Todes bringt.:b 行為により死亡の危険にさらしたとき
(9) In minder schweren Fällen der Absätze 1 und 2 ist auf Freiheitsstrafe von drei Monaten bis zu drei Jahren, in minder schweren Fällen der Absätze 4 und 5 ist auf Freiheitsstrafe von sechs Monaten bis zu zehn Jahren, in minder schweren Fällen der Absätze 7 und 8 ist auf Freiheitsstrafe von einem Jahr bis zu zehn Jahren zu erkennen. 第1項及び第2項のうち犯情があまり重くない事案では,月以上年以下の自由刑を,項及び第5 項のうち犯情があまり重くない事案では,6月以上10年以下の、項及び第8 項のうち犯情があまり重くない事案では,1 年以上 10 年以下の自由刑を言い渡すものとする。

(5) In minder schweren Fällen des Absatzes 1 ist auf Freiheitsstrafe von sechs Monaten bis zu fünf Jahren, in minder schweren Fällen der Absätze 3 und 4 auf Freiheitsstrafe von einem Jahr bis zu zehn Jahren zu erkennen. : 第1のうち犯情があまり重くない事案では,6月以上5年以下の自由刑を,第3項 及び第4 項のうち犯情があまり重くない事案では,1 年以上 10 年以下の自由刑を言い渡すものとする。



原文(新旧規定)
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by strafrecht_bt | 2017-03-11 14:52 | 刑法Ⅱ(各論)
2016年 12月 05日

 所有権移転登記等電磁的公正証書原本不実記録罪が成立しないとされた事例

最判 平成28年12月5日:平成26(あ)1197
 電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件
(最高裁判所第一小法廷) 破棄自判
【事実】 (1) 暴力団員であるBは,平成23年夏頃から,茨城県内に松葉会の会合で使える会館を造ろうと考え,不動産仲介業を営むCに対し,土地探し等を依頼していた。
(2) Bは,茨城県暴力団排除条例(以下「本件条例」という。)により自らは不動産業者と取引することができないと考え,取得する土地及び建物の名義人となってもらえる者を探していたところ,知人から紹介を受けて,被告人に対し名義を貸してくれるよう依頼をし,被告人はこれを承諾した。そこで,被告人,B及びCは,協議の上,本件各土地の売買契約において被告人又は被告人が代表取締役を務めるA社が買受名義人となり,被告人又はA社名義で本件各土地の登記を申請することとした。
(3) 本件各土地の取得等に必要な交渉,手続は,主にC及び同人から指示を受けた者が行ったが,本件売主らとの間の売買契約(以下「本件各売買契約」又は「本件各売買」という。)の締結に当たっては,被告人もA社の代表取締役として,これに立ち会い,売買契約書等の作成を行ったほか,その場で売買代金全額を支払った。本件各売買契約はA社名義で行われ,Bのためにすることは一切表示されず,本件売主らは,契約の相手方がA社であると認識していた。なお,本件売主らは,Bとは一切面識がなかった。
(4) 本件各土地について,本件公訴事実第1及び第2のとおり,本件各売買を原因とする本件売主らからA社への所有権移転登記等(以下「本件各登記」という。)がされたほか,本件建物について,本件公訴事実第3及び第4のとおり,所有者を被告人とする表題登記及び所有権保存登記がされた。
(5) 本件各土地及び本件建物の取得代金,登記費用など合計約1億2000万円の費用は全て,Bが出えんした。

【原審】 東京高判平成26年6月19日:平成25(う)1962
(1) 被告人とBとの間において,真実は暴力団員であるBが土地の所有権を取得するにもかかわらず,本件条例の適用を潜脱する意図の下にBの存在を秘匿して,A社を買受名義人として偽装する旨の合意が成立した。
(2) 被告人は,本件各土地に関する契約の際こそ立ち会っているが,契約に至るまでの間の必要な交渉,手続等は,Bの意向に沿う形で,主にC等が行っており,被告人は一切関与しなかったから,その実態は買受名義人を偽装した名義貸しである。
(3) そうすると,本件各土地の所有権は,本件売主らからA社が買主となって本件各売買契約を締結した時に,被告人とBとの間の名義貸しの合意によって,本件売主らからA社の名を借りたBに直接移転したものと認めるべきである。したがって,A社名義の本件各登記の申請は虚偽の申立てであり,当該登記は不実の記録である。

判旨
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by strafrecht_bt | 2016-12-05 16:50 | 刑法Ⅱ(各論)
2016年 06月 06日

刑法各論(財産犯)第7・8・9回講義:強盗罪

3週間にわたり強盗罪の基本類型である財物強盗罪(1項強盗罪)と利益強盗罪(2項強盗罪)について今年の司法試験の論文問題も題材としつつ説明し、今日は最後に少し早足になったが、準強盗罪の説明をなんとかおえることができた。もっとも質問が多かったのは事後強盗罪の共犯の問題で、共犯と身分など共犯論をまったくやっていない状態でこれを説明するのはやはり困難だと思った。やはり初心者には刑法総論の基礎を一通りやってから、各論を教えた方がわかりやすいのではないかと思う。

講義日程
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by strafrecht_bt | 2016-06-06 22:02 | 刑法Ⅱ(各論)
2016年 05月 16日

刑法各論(財産犯)第6回講義:窃盗罪関連類型

【講義項目】窃盗に対する正当防衛が可能な時間的限界(前回の質問に対する補充)
1.不動産侵奪罪(梅田村事件など)
2.利益窃盗の特別類型としての電子計算機使用詐欺罪
3.親族相盗例
【質問事項】親族相盗例の適用によって刑が免除された場合も前科になるか?

前科について
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by strafrecht_bt | 2016-05-16 14:26 | 刑法Ⅱ(各論)
2016年 05月 10日

刑法各論(財産犯)第5回講義:窃盗罪(3)

きのう書いたものを誤って送信せずに閉じてしまった。もう一度書く気が起きないので、項目だけ示しておく。
【講義項目】占有の存否(復習、判例の補充)、窃取行為の意義、実行の着手(総論的問題も含め)・既遂時期・不法領得の意思
【質問項目】自首の要件、既遂時期と正当防衛可能時期は一致するのか(次回講義で補充予定)、本来の用法(下着泥棒など)など多数
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by strafrecht_bt | 2016-05-10 14:54 | 刑法Ⅱ(各論)
2016年 05月 02日

刑法各論(財産犯)第4回講義:窃盗罪(2)

今日は連休の間で、もっと欠席が多いと思っていたが、いつもとほぼ同じ出席者数であった。窃盗罪の保護法益を、自己財物の取り戻しの事例で説明した(同時に、正当防衛と自救行為についても言及した)。次に司法試験の去年の論文問題を参照して、占有の所在・有無によって窃盗罪/横領罪・占有離脱物横領罪が区別されることを解説した(この点について判例の基準がよくわからないという質問があった)。そして死者の占有を説明し、判例の立場を解説したところで、時間となったが、判例の論拠が理解できないという質問が数人からあった。次回はもう一度この問題を復習して、窃盗罪の残りの論点を終わらそうと思う。
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by strafrecht_bt | 2016-05-02 22:44 | 刑法Ⅱ(各論)
2016年 04月 25日

刑法各論(財産犯)第3回講義:器物損壊罪・窃盗罪(1)

今日は前回の最後に挙げた受精卵の損壊と窃取の事例について議論し、財物の概念の説明を終え、続いて財産上の利益について具体的事例を挙げて説明した。そして今年は毀棄罪を先に説明することにして、毀棄罪の類型を示して建造物損壊罪(260条)、器物損壊罪(261条)を中心にして損壊概念を解説し、特に建造物(公衆トイレ)の落書き事例(最決平成18・1・17、山口・刑法361頁参照)について効用喪失説に基づいても美観が効用に含まれるかどうかは問題で、処罰のためにはドイツ刑法のように特別の規定が必要となるのではないかという見解を示した。また領得罪と毀棄罪の区別問題との関連にも言及した。そのあとで最決昭和61・7・18(山口・刑法285頁注17、288、360頁参照)を例に建造物の「他人性」の意義、民法と刑法の関係について解説した。学部1回生には難しいかもしれないと思ったが講義後、行為時にはまだ詐欺取り消しがなされていなかったのだから、民法上の所有権概念を基準としても他人性を認めてもいいのではないかという鋭い質問があった。以上で毀棄罪の説明を終え、窃盗罪の説明に移り、導入として窃盗罪の保護法益にかかわる窃取されたもの取返し事例をいくつかあげたところで、時間となった。
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by strafrecht_bt | 2016-04-25 17:28 | 刑法Ⅱ(各論)
2016年 04月 18日

刑法各論(財産犯)第2回講義:財産犯総論

今日は前回出した電気窃盗と情報窃盗の事例を学生にあてて議論し、罪刑法定主義を復習した後、財産犯の体系について図をつかって説く明し、具体例を出しながら各類型を説明した。個別財産に対する罪では、机の上に置いてある本を無断で持って行ったが、相当対価を置いて行ったという事例と、いわゆるつめ「専断的」両替の事例を学生に聞いてみたが、ともに窃盗罪が成立するとの回答があったので、後者については実質的に相手方の財産的権利を侵害しているかどうか問題があることを指摘しておいた。そして次に客体による区別では刑法246条の2の特殊性を具体的事例を挙げて説明したあと、財物と財産的利益の意義を説明し、財物概念で先にあげた有体性以外の要件を説明し、人間の受精卵の財物性を学生に具体例を挙げて聞いている途中で時間が来たので、その事例を宿題として講義を終えた。
次回は器物損壊罪と窃盗罪(1)を扱う予定である。

財産犯の認知件数
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by strafrecht_bt | 2016-04-18 13:01 | 刑法Ⅱ(各論)