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カテゴリ:司法試験( 62 )


2016年 12月 05日

今年の最高裁刑事判例

(1)刑法総論
最高裁判例:刑法総論①:ガス抜き配管内で結露水が滞留してメタンガスが漏出したことによって生じた温泉施設の爆発事故について,設計担当者に結露水の水抜き作業に係る情報を確実に説明すべき業務上の注意義務があったとされた事例
平成26(あ)1105  業務上過失致死傷被告事件
最決平成28年5月25日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  (原審:東京高等裁判所)
最高裁判例:刑法総論②:花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,警察署副署長に同署地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯は成立しないとされた事例
平成26(あ)747  業務上過失致死傷被告事件
最決平成28年7月12日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  (原審:大阪高等裁判所)
最高裁判例:刑法総論③:刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定(刑法27条の2ないし27条の7)の新設は,刑訴法411条5号にいう「刑の変更」に当たらない。
平成28(あ)456  覚せい剤取締法違反被告事件
最決平成28年7月27日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所
(2)刑法各論
最高裁判例:刑法各論(罪数)①:罪数に関する法令適用の誤りがあるが,刑訴法411条を適用すべきものとは認められないとされた事例
平成26(あ)1870  詐欺被告事件
最決平成28年3月23日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却 原審:広島高等裁判所
最高裁判例:刑法各論②: 1 同時傷害の特例を定めた刑法207条の法意/2 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案においていずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定された場合と刑法207条の適用の可否
平成27(あ)703  傷害,傷害致死被告事件
最決平成28年3月24日  最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 原審:名古屋高等裁判所
最高裁判例:刑法各論③: 他人の刑事事件について捜査官と相談しながら虚偽の供述内容を創作するなどして供述調書を作成した行為が証拠偽造罪に当たるとされた事例
平成26(あ)1857  詐欺,証拠隠滅被告事件
最決平成28年3月31日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所
最高裁判例:刑法各論④:土地について売買契約を登記原因とする所有権移転登記等の申請をして当該登記等をさせた行為につき電磁的公正証書原本不実記録罪が成立しないとされた事例
平成26(あ)1197  電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件
最判平成28年12月5日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 (原審:東京高判)
(3)特別刑法
最高裁判例:特別刑法①:1 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいい,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,これに含まれる。
2 児童福祉法34条1項6号にいう「させる行為」に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断すべきである。
平成26(あ)1546  児童福祉法違反被告事件
平成28年6月21日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  福岡高等裁判所
最高裁判例:特別刑法②:1 情報源を公にしないことを前提とした報道機関に対する重要事実の伝達と金融商品取引法施行令(平成23年政令第181号による改正前のもの)30条1項1号にいう「公開」/2 情報源が公にされることなく会社の意思決定に関する重要事実を内容とする報道がされた場合における金融商品取引法(平成23年法律第49号による改正前のもの)166条1項による規制の効力
平成27(あ)168  金融商品取引法違反被告事件
最決平成28年11月28日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  (原審:東京高等裁判所)
(4)量刑
最高裁判例:量刑①:死刑の量刑が維持された事例(大阪パチンコ店放火殺人事件)
平成25(あ)1329  現住建造物等放火,殺人,殺人未遂被告事件
最判平成28年2月23日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却 (原審:大阪高等裁判所)
最高裁判例:量刑②: 死刑の量刑が維持された事例(福島夫婦強盗殺人事件)
平成26(あ)959  住居侵入,強盗殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
最判平成28年3月8日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  仙台高等裁判所
最高裁判例:量刑③:死刑の量刑が維持された事例(長野一家3人強盗殺人事件)
平成26(あ)477  強盗殺人,死体遺棄被告事件
平成28年4月26日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  原審:東京高等裁判所
最高裁判例:量刑④: 死刑の量刑が維持された事例(山形東京連続放火殺人事件)
平成26(あ)1655  住居侵入,逮捕監禁,殺人,現住建造物等放火,有印私文書偽造・同行使,ストーカー行為等の規制等に関する法律違反被告事件
平成28年6月13日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
最高裁判例:量刑⑤:死刑の量刑が維持された事例(元少年石巻殺傷事件)
平成26(あ)452  傷害,殺人,殺人未遂,未成年者略取,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
平成28年6月16日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  仙台高等裁判所
最高裁判例:量刑⑥: 死刑の量刑が維持された事例(長崎ストーカー殺人事件)
平成26(あ)1160  住居侵入,殺人,窃盗,傷害,脅迫被告事件
平成28年7月21日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  福岡高等裁判所
(5)刑事訴訟法
最高裁判例:刑事訴訟法①: 自動車運転過失致死の公訴事実について防犯カメラの映像と整合しない走行態様を前提に被告人を有罪とした原判決に,審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあるとされた事例
平成26(あ)1844  自動車運転過失致死被告事件
平成28年3月18日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻 原審:東京高等裁判所
最高裁判例:刑事訴訟法②:処断刑超過による非常上告(心神耗弱者の行為についての必要的減軽を看過)
平成28(さ)1  福岡県迷惑行為防止条例違反被告事件についてした判決に対する非常上告事件
平成28年7月4日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  福岡地方裁判所  小倉支部
最高裁判例:刑事訴訟法③:米軍属による強姦致死,殺人,死体遺棄事件として管轄区域で大々的に報道され,当該区域の住民の中から裁判員を選任することになるなどの所論が主張する点(判文参照)は,管轄裁判所において公平な裁判が行われることを期待し難い事情とはいえず,刑訴法17条1項2号にいう「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらない。
(補足意見がある。)
平成28(す)398  管轄移転の請求事件
平成28年8月1日  最高裁判所第二小法廷  決定  棄却  那覇地方裁判所
最高裁判例:刑事訴訟法④:公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した保釈請求に対する検察官の意見書の謄写を許可しなかった裁判官の処分が是認できないとされた事例
平成28(し)607  保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
平成28年10月25日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  静岡地方裁判所
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by strafrecht_bt | 2016-12-05 18:14 | 司法試験
2016年 05月 23日

2016年〔第16問〕(配点:2)財産犯

〔第16問〕(配点:2) 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は, [№29])
1.甲は,警察官から職務質問をされそうになったのでその場から急いで立ち去ろうと考え,た またま路上に駐車されていた他人所有の自動車に乗り込み,適当な場所で乗り捨てるつもりで, 同自動車を運転してその場から走り去った。この場合,甲には,不法領得の意思が認められ, 窃盗罪が成立する。
2.甲は,タクシーの売上金を奪おうと考えて,乗客を装ってタクシーに乗り込み,行き先を指 定して人気のない場所に誘導した上,同所で,乗車料金を請求してきた運転手の首元に鋭利な ガラス片を突き付けて売上金を渡すよう要求したが,同運転手から抵抗されて売上金を手に入 れることができず,そのままその場から立ち去った。この場合,甲には強盗未遂罪のみが成立 する。
3.甲は,視力回復の効果が全くない飲料について,その効果が絶大で入手困難なものと偽って, 信じた客にこれを販売し,その代金として現金の交付を受けたが,その販売価格は適正,妥当 なものであった。この場合,甲には詐欺罪は成立しない。
4.甲は,乙がその同居の親族から盗んできたカメラを,盗品であると知りながら乙から購入し た。この場合,乙は,窃盗罪についての刑が免除されることから,甲には盗品等有償譲受け罪 は成立しない。
5.甲は,乙所有の土地について,価格が暴落すると偽って,これを信じた乙との間で,時価の 半額で同土地を買い受ける旨の売買契約を締結した。この場合,その売買契約が成立したこと のみをもって,甲には詐欺既遂罪が成立する。
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by strafrecht_bt | 2016-05-23 14:39 | 司法試験
2016年 05月 23日

2016年〔第17問〕(配点:3)間接正犯

〔第17問〕(配点:3) 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,甲に( )内の罪名の間接正犯が成立 しないものを2個選びなさい。(解答欄は,[№30],[№31]順不同)
1.甲は,是非弁別能力を有する12歳の長男乙に対し,強盗の犯行方法を教示し,その際に使 う凶器を提供して強盗を実行するよう指示したが,その指示は乙の意思を抑圧するものではな く,乙は,自らの意思により強盗の犯行を決意し,甲から提供された凶器を使って,状況によっ て臨機応変に対処して強盗を実行した。(強盗罪)
2.医師ではない甲は,妊婦乙からの依頼を受けて乙への堕胎手術を開始したが,その中に乙 の生命が危険な状態に陥ったため,医師丙に依頼し,胎児を乙の母体外に排出させた。(同意堕胎罪)
3.公務員ではない甲は,公証人乙に対して虚偽の申立てをし,事情を知らない乙をして,公文 書である公正証書の原本に虚偽の記載をさせた。(虚偽公文書作成罪)
4.甲は,事情を知らない新聞社の従業員乙に依頼して,同社の新聞紙上に,丙に無断で丙名義 の事実証明に関する広告文を掲載させた。(私文書偽造罪)
5.甲は,乙所有の建材を自己の所有物であると偽って,事情を知らない丙に売却し,丙をして, 乙の建材置場から当該建材を搬出させた。(窃盗罪)
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by strafrecht_bt | 2016-05-23 14:28 | 司法試験
2016年 05月 20日

2016年〔第1問〕(配点:2)不作為犯

〔第1問〕(配点:2) 学生A,B及びCは,不真正不作為犯の作為義務違反に関して次の【会話】のとおり検討してい る。【会話】中の①から⑤までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは, 後記1から5までのうちどれか。ただし,【会話】中の「法律上の防止義務」とは,法令,法律行 為,条理等に基づき法益侵害を防止する法的義務をいい,また,いずれの事例も結果回避は容易で あったとする。(解答欄は,[№1]) 【会 話】 学生A.「甲は,人通りの多い市街地で自動車を運転していた際,誤って乙を跳ねて重傷を負わ せたが,怖くなったことから,乙を放置したまま逃走したところ,乙が死亡した。」とい う事例において,殺人罪の成否に関し,不真正不作為犯の作為義務を検討してみよう。私 は,不真正不作為犯の作為義務違反は,法律上の防止義務を負う者が,法益侵害への因果 関係を具体的・現実的に支配している状況下で防止措置を採らなかった場合に認められる と考えるので,甲には作為義務違反が①(a.認められる・b.認められない)ことにな る。 学生B.私は,不真正不作為犯の作為義務違反は,法律上の防止義務を負う者が,既に発生して いる法益侵害の危険を利用する意思で防止措置を採らなかった場合に認められると考える ので,この事例では,甲には作為義務違反が②(a.認められる・b.認められない)こ とになる。 学生C.私は,不真正不作為犯の作為義務違反は,法益侵害に向かう因果の流れを自ら設定した 者が,その法益侵害の防止措置を採らなかった場合に認められると考えるので,この事例 では,甲には作為義務違反が③(a.認められる・b.認められない)ことになる。 学生A.次に,「一人暮らしをしている丙は,自宅に遊びに来ていた丁が帰った後,丁のたばこ の火の不始末でカーテンが燃えているのに気付いたが,家に掛けてある火災保険の保険金 を手に入れようと考え,そのまま放置して外出したところ,カーテンの火が燃え移って家 が全焼した。」という事例において,非現住建造物等放火罪の成否に関し,不真正不作為 犯の作為義務を検討してみよう。C君の立場からだと,丙には作為義務違反が④(a.認 められる・b.認められない)ことになるよね。 学生B.先ほど話した私の立場からは,今の事例では,丙には作為義務違反が⑤(a.認められ る・b.認められない)ことになる。 1.①a ②b ③a ④a ⑤b 2.①a ②a ③b ④a ⑤b 3.①b ②a ③a ④b ⑤b 4.①b ②b ③a ④b ⑤a 5.①b ②b ③b ④a ⑤a
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by strafrecht_bt | 2016-05-20 09:26 | 司法試験
2016年 05月 20日

2016年〔第11問〕(配点:3)因果関係

〔第5問〕(配点:3) 因果関係に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選 びなさい。(解答欄は,[№9] ,[№10]順不同)
1.甲が,殺害目的でVの首を両手で絞め,失神してぐったりとしたVを死んだものと誤解し, 死体を隠すつもりでVを雪山に運んで放置したところ,Vは意識を回復しないまま凍死した。 甲がVの首を両手で絞めた行為とVの死亡との間には,因果関係がない。
2.甲が,心臓発作を起こしやすい持病を持ったVを突き飛ばして尻餅をつくように路上に転倒 させたところ,Vはその転倒のショックで心臓発作を起こして死亡した。Vにその持病がある ことを甲が知り得なかった場合でも,甲がVを突き飛ばして路上に転倒させた行為とVの死亡 との間には,因果関係がある。
3.甲は,Vの頸部を包丁で刺し,Vは,同刺創に基づく血液循環障害による脳機能障害により 死亡した。その死亡するまでの経過は,Vは,受傷後,病院で緊急手術を受けて一命をとりと め,引き続き安静な状態で治療を継続すれば数週間で退院することが可能であったものの,安 静にすることなく病室内を歩き回ったため治療の効果が上がらず,同脳機能障害により死亡し たというものであった。この場合でも,甲がVの頸部を包丁で刺した行為とVの死亡との間に は,因果関係がある。
4.甲は,深夜,市街地にある道幅の狭い車道上に無灯火のまま駐車していた普通乗用自動車の 後部トランクにVを閉じ込めて監禁したが,数分後,たまたま普通乗用自動車で通り掛かった 乙が居眠り運転をして同車を甲の普通乗用自動車の後部トランクに衝突させ,Vは全身打撲の 傷害を負い死亡した。甲がVをトランクに監禁した行為とVの死亡との間には,因果関係がな い。
5.甲は,ホテルの一室で未成年者Vに求められてその腕に覚せい剤を注射したところ,その場 でVが錯乱状態に陥った。甲は,覚せい剤を注射した事実の発覚を恐れ,そのままVを放置し て逃走し,Vは覚せい剤中毒により死亡した。Vが錯乱状態に陥った時点で甲がVに適切な治 療を受けさせることによりVを救命できた可能性が僅かでもあれば,甲がVを放置した行為と Vの死亡との間には,因果関係がある。
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by strafrecht_bt | 2016-05-20 09:08 | 司法試験
2016年 05月 20日

2016年〔第20問〕(配点:2)財産犯

〔第20問〕(配点:2) 次の【事例】に関する後記アからエまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,正し いものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№36]) 【事 例】 甲は,内縁の妻Aと同居していたところ,遊興費に窮し,A所有のドレス20着及び指輪1個 と,A管理のA名義のクレジットカード1枚(その規約上,会員である名義人のみが利用でき, 他人への譲渡,貸与等が禁じられ,また,加盟店は,利用者が会員本人であることを善良な管理 者の注意義務をもって確認することが定められている。)を,Aの部屋から盗み出した。 甲は,丙にドレス及び指輪の売却を仲介してもらおうと考え,これらの盗品を丙方に運ぼうと した。しかし,甲は,ドレスの数が多く一人で運ぶのが困難であったため,乙に対し,ドレスと 指輪が盗品であることを話した上で,丙宅への運搬を手伝ってほしいと頼んだ。乙がこれを了解 したので,甲及び乙は,指輪とドレスのうち10着を甲が,残りのドレス10着を乙が,それぞ れ運転する自動車に載せて丙宅へ運ぶこととし,これらの盗品を丙宅へ運んだ。 丙は,ドレス及び指輪を,甲がAから盗んできたものであることを承知した上で甲から預かり, 甲からの依頼どおりに売却先を探すこととしたが,指輪についてはAが母親の形見として大切に していたものであることを知っていたことから,高値でAに売り付けようと考え,後日,Aに対 し,代金50万円で指輪を売却し,その売却代金を甲に渡した。 また,甲は,Aから盗んだクレジットカードを担保として丁から現金30万円を借りたが,そ の際,丁に対し,「これはA名義のクレジットカードだけど,Aから使用を許されており,お前 がこのカードを利用して買物をしても,その利用代金はAにおいて決済される。」と伝えた。そ の後,甲が丁に対して金を返さなかったことから,丁は,甲の話を信じ,デパートにおいて,A に成り済まして同カードを用いて腕時計1個を購入した。
【記 述】 ア.甲がAの指輪を盗んだことにつき,甲の行為は窃盗罪に該当するが,Aは甲の内縁の妻であ るから,刑法第244条第1項により刑が免除される。
イ.乙が盗品のドレス10着を,窃盗犯人である甲が指輪とドレス10着を,それぞれ丙宅まで 運搬したことにつき,乙は甲と共同してこれら盗品を運搬したのであるから,乙にはドレス 20着全てと指輪につき盗品等運搬罪が成立する。
ウ.丙がAを相手方として指輪の売却をあっせんしたことにつき,Aは窃盗の被害者であるが, 丙には盗品等処分あっせん罪が成立する。
エ.丁がA名義のクレジットカードで腕時計を購入したことにつき,丁は,Aから同カードの使用を許されており,かつ,自らの使用に係る同カードの利用代金がAにおいて決済されるもの と信じていたので,丁に詐欺罪は成立しない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ エ
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by strafrecht_bt | 2016-05-20 08:54 | 司法試験
2016年 05月 20日

2016年〔第11問〕(配点:2)過失犯

〔第11問〕(配点:2) 過失犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれ か。(解答欄は,[№20])
1.監督過失とは, 直接行為者が過失を犯さないように監督する注意義務に違反する過失をいう。 監督過失を認めるには,直接行為者に構成要件的結果が発生することの予見可能性があれば足 り,直接行為者を監督すべき立場にある監督者には,構成要件的結果が発生することの予見可 能性までは必要とされない。
2.重過失とは,注意義務違反の程度が著しく,それによって発生した構成要件的結果が重大な ものをいう。
3.信頼の原則は,交通事故の過失犯だけに適用されるものであり,それ以外の過失犯に適用さ れる余地はない。
4.注意義務に違反して人を負傷させた場合であっても,相手方に重大な過失があったときには, 過失相殺が適用されるので,過失の責任を免れることができる。
5.過失犯の成立に必要な注意義務は,必ずしも法令上の根拠があることを要しない。
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by strafrecht_bt | 2016-05-20 08:34 | 司法試験
2016年 05月 20日

2016年〔第15問〕(配点:2)事実の錯誤

〔第15問〕(配点:2) 学生A,B及びCは,事実の錯誤に関して,次の【会話】のとおり検討している。【会話】中の①か ら⑪までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち どれか。(解答欄は,[№28])
【会 話】 学生A.Xが甲を狙って殺人の故意で拳銃を発射し,甲にかすり傷を負わせ,さらに,その弾丸 が偶然に乙に命中して乙を死亡させた事例について考えてみよう。私は,同一の構成要件 の範囲内であれば,故意を阻却しないと考え,故意の個数については,①(a.故意の個 数を問題としない・b.故意の個数を問題とし一個の故意を認める)立場を採ります。で すから,私は,事例の場合,故意犯としては乙に対する殺人既遂罪のみが成立すると考え ます。 学生B.私は,基本的にはA君と同じ立場ですが,故意の個数について,②(c.故意の個数を 問題としない・d.故意の個数を問題とし一個の故意を認める)立場に立ちます。A君の 考えだと,③(e.意図した・f.意図しない)複数の客体に既遂の結果が発生した場合, いずれの客体に故意犯を認めるのか不明だからです。 学生C.B君の立場は,④(g.罪刑法定主義・h.責任主義)に反することになりませんか。 私は,この原則を尊重し,⑤(i.客体の錯誤・j.方法の錯誤)の場合には故意を認め ますが,⑥(k.客体の錯誤・l.方法の錯誤)の場合には故意を認めるべきではないと 思います。ですから,私は,事例の場合,乙に対する殺人既遂罪は成立しないと考えます。 学生A.でも,C君の立場では,方法の錯誤と客体の錯誤との明確な区別が可能であることが前提となりますね。また,未遂犯や過失犯を処罰する規定の有無によっては,処罰の範囲が 不当に⑦(m.狭まる・n.広がる)ことになると思います。 一方で,B君の立場では,処断刑が不当に重くなりませんか。 学生B.私は,甲に対する罪と乙に対する罪の関係を⑧(o.併合罪・p.観念的競合)と考え ますので,処断刑はA君の立場による場合と同一となります。 学生A.でも,複数の客体に既遂の結果が発生した場合,⑨(q.意図した・r.意図しない) 客体についての⑩(s.故意犯・t.過失犯)を,刑を⑪(u.重くする・v.軽くする) 方向で量刑上考慮するとなると,やはり問題ではないでしょうか。
1.①b ②c ③f ④g ⑤j ⑥k ⑦m ⑧p ⑨q ⑩s ⑪v
2.①a ②d ③e ④g ⑤j ⑥k ⑦n ⑧o ⑨r ⑩t ⑪v
3.①b ②c ③f ④h ⑤i ⑥l ⑦m ⑧p ⑨r ⑩s ⑪u
4.①a ②d ③e ④h ⑤i ⑥l ⑦n ⑧o ⑨q ⑩s ⑪u
5.①b ②c ③f ④h ⑤i ⑥l ⑦n ⑧p ⑨r ⑩t ⑪u
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by strafrecht_bt | 2016-05-20 08:18 | 司法試験
2016年 05月 19日

2016(平成28)年予司法験論文式問題

[刑事系科目]
〔第1問〕(配点:100) 以下の事例に基づき,甲,乙,丙及び丁の罪責について,具体的な事実を摘示しつつ論じなさい (特別法違反の点を除く。 )。
1 甲(45歳,男性)は暴力団組織である某組において組長に次ぐ立場にあり,乙(23歳,男 性)及び丙(20歳,男性)は甲の配下にある同組の組員で,乙は丙の兄貴分であった。甲は, 某組の組長から,まとまった金員を工面するように指示を受けていたところ,配下の組員Aの情報によって,Aの知人であるV(40歳,男性)が,一人暮らしの自宅において,数百万円の現 金を金庫に入れて保管していることを知った。
2 甲は,Vの現金を手に入れようと計画し,某年9月1日,乙に対し,「実は,組長からまとまっ た金を作れと言われている。Aの知人のVの自宅には数百万円の現金を入れた金庫があるらしい。 Vの家に押し入って,Vをナイフで脅して,その現金を奪ってこい。奪った現金の3割はお前の ものにしていい。」と指示した。乙は,その指示に従うことにちゅうちょを覚えたが,組内で上の立場にいる甲の命令には逆らえないと考えるとともに,分け前も欲しいと思い,甲に対し,「分 かりました。」と言った。甲は,乙に対し,現金3万円を渡して,「この金で,Vを脅すためのナイフなど必要な物を買って準備しろ。準備した物と実際にやる前には報告をしろ。」と言った。 乙は,甲から受け取った現金を使って,玄関扉の開錠道具,果物ナイフ(刃体の長さ約10セン チメートル。以下「ナイフ」という。 ),奪った現金を入れるためのかばん等を購入した上,甲に 対し,準備した物品について報告した。 その後,乙は,一人で強盗をするのは心細いと思い,丙と一緒に強盗をしようと考えた。乙は, 丙に対し,「甲からの指示で,Vの家に行って押し込み強盗をやるんだが,一緒にやってくれな いか。」と言って甲から指示を受けた内容を説明した上で,「俺がナイフで脅す。それでもVが抵 抗してくるようだったら,お前はVを痛めつけてくれ。9月12日午前2時に実行する。その時 間にVの家に来てくれ。お前にも十分分け前をやる。」と言った。しかし,丙は,その日は用事 があったことから,乙の頼みを断った。乙は,「仕方ない。一人で何とかなるだろう。」と考え, 単独で犯行に及ぶことを決意した。なお,乙は,甲に対し,丙を強盗に誘ったことについては言 わなかった。
3 乙は,同月12日未明,事前に準備したナイフ等を持ってV方に向かい,V方前で甲に電話をかけ,「これからV方に入ります。」と伝えた。しかし,甲は,乙からの電話の数時間前に,今回の計画を知った某組の組長から犯行をやめるように命令されていたので,乙に対し,「組長から やめろと言われた。今回の話はなかったことにする。犯行を中止しろ。」と言った。乙は,多額 の現金を入手できる絶好の機会であるし,手元にナイフ等の道具もあることから,甲にそのよう に言われても,今回の犯行を中止する気にはならなかったが,甲に対し,「分かりました。」とだけ返事をして,その電話を切った。
4 乙は,その電話を切った直後の同日午前2時頃,準備した開錠道具を使用してV方の玄関扉を 開錠し,V方に入った。乙は,Vが寝ている部屋(以下「寝室」という。)に行き,ちょうど物音に気付いて起き上がったVに対し,準備したナイフをその顔面付近に突き付け,「金庫はどこ にある。開け方も教えろ。怪我をしたくなければ本当のことを言え。」と言った。これに対し, Vが金庫のある場所等を教えなかったため,乙は,Vを痛めつけてその場所等を聞き出そうと考え,Vの顔面を数回蹴り,さらに,Vの右足のふくらはぎ(以下「右ふくらはぎ」という。)を ナイフで1回刺した。Vは,乙からそのような暴行を受け,「言うとおりにしないと,更にひど い暴行を受けるかもしれない。」と考えて強い恐怖心を抱き,乙に対し,「金庫は6畳間にあります。鍵は金庫の裏にあります。」と言った。それを聞いた乙は,右ふくらはぎを刺された痛みから床に横たわっているVを寝室に残したまま6畳の部屋(以下「6畳間」という。)に向かった。
5 丙は,予定よりも早く用事が済んだため,兄貴分である乙が強盗するのを手伝おうという気持 ちが新たに生じるとともに,分け前がもらえるだろうと考え,V方に行った。丙は,V方の玄関 扉が少し開いていたので,同日午前2時20分頃,その玄関からV方に入り,寝室でVが右ふく らはぎから血を流して床に横たわっているのを見た。 その後,丙は,6畳間にいた乙を見付け,乙に対し,「用事が早く済みました。手伝いますよ。 」 と言った。乙は,丙に対し,「計画どおりVをナイフで脅したけど,金庫の在りかを教えなかっ たから,ふくらはぎを刺してやった。あれじゃあ動けねえから,ゆっくり金でも頂くか。お前にも十分分け前はやる。」と言い,丙も,Vは身動きがとれないので簡単に現金を奪うことができ るし,分け前をもらえると考えたこともあり,これを了解して「分かりました。」と言った。 乙は,Vから聞き出した場所にあった鍵を取り出して,これを使って6畳間の金庫の扉を開錠 した。そして,乙と丙は,二人で同金庫の中にあった現金500万円を準備したかばんの中に入れ,その後,同日午前2時30分頃,そのかばんを持ってV方から出た。なお,Vは,終始,丙が来たことには気付いていなかった。 乙は,V方から出た後,某組事務所に行き,甲に対し,言われたとおり犯行を中止した旨の虚 偽の報告をした。その後,乙は,Vから奪った現金のうち150万円を丙に分け前として渡し, 残りの350万円を自分のものとした。
6 盗みに入る先を探して徘徊中の丁(32歳,男性。なお,甲,乙及び丙とは面識がなかった。) は,同日午前2時40分頃,V方前を通った際,偶然,V方の玄関扉が少し開いていることに気 付いた。丁は,V方の金品を盗もうと考え,その玄関からV方に入り,6畳間において,扉の開 いた金庫内にX銀行のV名義のキャッシュカード1枚(以下「本件キャッシュカード」という。) があるのを見付け,これをズボンのポケットに入れた。そして,丁が,更に物色するため寝室に 入ったところ,そこには右ふくらはぎから血を流して床に横たわっているVがいた。丁は,その 様子を見て驚いたものの,「ちょうどいい。手に入れたキャッシュカードの暗証番号を聞き出し, 現金を引き出そう。」と考え,Vに近付いた。 Vは,丁に気付き,「何かされるかもしれない。」と考えて,丁に対して恐怖心を抱いた。丁は, 横たわっているVのそばにしゃがみ込んでVの顔を見たところ,Vが恐怖で顔を引きつらせてい たので,「強く迫れば,容易に暗証番号を聞き出せる。」と考えた。そこで,丁は,Vをにらみ付 けながら,「金庫の中にあったキャッシュカードの暗証番号を教えろ。」と強い口調で言った。V は,丁が間近に来たことでおびえていた上,丁からそのように言われ,「言うことを聞かなかっ たら,先ほどの男にされたようなひどい暴力をまた振るわれるかもしれない。」と考えて,更に 強い恐怖心を抱き,丁に対し,「暗証番号は××××です。」と言った。
7 丁は,その暗証番号を覚えると,V方から逃げ出し,同日午前3時頃,V方近くの24時間稼 動している現金自動預払機(以下「ATM」という。)が設置されたX銀行Y支店にその出入口 ドアから入り,同ATMに本件キャッシュカードを挿入した上,その暗証番号を入力して,同A TMから現金1万円を引き出した。
8 Vは,同日午前5時頃,乙から顔面を蹴られたことによる脳内出血が原因で死亡した(なお, 乙がVの右ふくらはぎを刺した行為とVの死亡とは関連がない。)

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by strafrecht_bt | 2016-05-19 17:19 | 司法試験
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