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2013年 07月 31日

ドイツ刑法の詐欺罪規定

第22章 詐欺及び背任

第263条(詐欺)①違法な財産上の利益を自ら得又は第三者に得させる目的で,虚偽の事実を真実に見せかけることにより又は真実を歪曲若しくは隠蔽することにより,錯誤を生じさせ又は維持させることにより,他人の財産に損害を与えた者は,5年以下の自由刑又は罰金に処する。
②本罪の未遂は罰せられる。
③犯情の特に重い事案では,刑は6月以上10年以下の自由刑とする。犯情の特に重い事案とは,原則として行為者が,
1業として,若しくは,文書偽造若しくは詐欺を継続的に行うために結成された集団の構成員として行為を行ったとき
2多額の財産的損失を引き起こしたとき,若しくは,詐欺を継続的に行うことにより財産的価値を損失する危険に多数の者をさらす目的で行為を行ったとき
3他の者を経済的な困窮状態に陥れたとき
4公務担当者としてのその権限若しくはその地位を濫用したとき,又は
5保険適用事例であるかのように装う目的で,自己若しくは他の者が大きな価値をもつ物に火をつけることにより若しくは点火によりその全部若しくは一部を破壊することにより,若しくは,船舶を沈没させ若しくは坐礁させることにより,保険適用事例であるかのように装ったときである。
④第243条第2項並びに第247条及び第248条aが準用される。
⑤第263条から第264条又は第267条から第269条に定める犯罪行為を継続的に行うために結成された集団の構成員として,業として詐欺を行った者は,1年以上10年以下の自由刑に処し,犯情があまり重くない事案では,6月以上5年以下の自由刑に処する。
⑥裁判所は,行状監督を命じることができる(第68条第1項)。
⑦行為者が第263条から第264条又は第267条から第269条に定める犯罪行為を継続的に行うために結成された集団の樽成員として行為を行ったときは,第43条a及び第73条dが適用されるものとする。行為者が業として行為を行ったときも,第73条dが適用されるものとする。
法務省大臣官房司法法制部司法法制課編『ドイツ刑法典(法務資料, 第461号)』(2007年)

原文
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by strafrecht_bt | 2013-07-31 16:34 | 詐欺罪
2013年 07月 31日

フランス刑法における詐欺(Escroquerie)罪規定

第3章詐欺及びその周辺の犯罪
第1節 詐欺
Art. 313-1 Code pénal
«L'escroquerie est le fait, soit par l'usage d'un faux nom ou d'une fausse qualité, soit par l'abus d'une qualité vraie, soit par l'emploi de manoeuvres frauduleuses, de tromper une personne physique ou morale et de la déterminer ainsi, à son préjudice ou au préjudice d'un tiers, à remettre des fonds, des valeurs ou un bien quelconque, à fournir un service ou à consentir un acte opérant obligation ou décharge. L'escroquerie est punie de cinq ans d'emprisonnement et de 375000 euros d'amende.»
第313-1条〔詐欺〕「①虚偽の氏名若しくは資格を用い,真実の資格を濫用し又は不正な策略を用いて,自然人又は法人を錯誤に陥れて,その者又は第三者の利益に反して,資金,有価証券若しくは何らかの財物の引渡し,役務の提供又は債務履行若しくは債務の免除について,承諾させる行為は,詐欺とする。
②詐欺は,5年の拘禁刑及び2,500,000フランの罰金で罰する。」
『フランス新刑法典』(平成7年・法曹会)113頁

ドイツ語訳
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by strafrecht_bt | 2013-07-31 15:59 | 詐欺罪
2013年 07月 20日

演習問題

アルバイトでレストランのウエーターをしていた生物学専攻大学院生の甲は、調理師の乙からVにキノコ料理を持っていくようにいわれた。甲は、キノコの毒性について専攻しており、それまで危険性が知られていなかったその種のキノコには一定の気象条件の下で強い毒性を持った突然変異種が現れるということが、甲の提案により甲が所属している研究室の実験が行われて証明され、それに基づいてその研修室の主任教授であるA教授が執筆した論文が近く学会誌で発表されることになっていた。そしてその専門知識によって、この料理に使われているキノコがそれと同一種のキノコであり、しかも今年はその気象条件に当てはまっており、この今年とれたキノコにはかなりの割合で変異種が含まれているかもしれないと思ったが、学会誌で発表に前にはこのことを他言するなと教授から言われてていたこともあり、またバイトに過ぎない自分がそのことを知っていることは誰にもわからないだろうから、たとえVがそれを食べて死亡するようなことがあっても単なる不運な事故として処理されることになるだろうと考えて、そのままVのところにそのキノコ料理を持って行った。そのキノコには毒性を持ったものが含まれれており、それを食べたVは急性中毒症状を起こして病院に搬送された。その病院での治療の結果、Vは一旦は快方に向かっていたが、安静にするようにという指示に反して病室で夜にワインを飲酒するなどしたため再び病状が悪化し、10日後に死亡した。なお乙は、たまたまA教授が喫茶店でそのキノコの毒性について話をしているのを聞き、恨みのあったVを殺害するためにわざとそのキノコ料理を勧めて注文させていた(甲がこのキノコについて専門知識を持っているということを乙は知らなかった)。甲及び乙の罪責について論じなさい(特別法上の犯罪については除く)。

解説
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by strafrecht_bt | 2013-07-20 17:03 | 刑法演習
2013年 07月 19日

演習問題

【問題】以下の事例に基づき、2、3の行為に関するAおよびBの罪責につき、具体的な事実を適示しつつ論じなさい(特別法違反の点を除く。)。

1 Aは、いわゆるブラック企業の経営者で、最近は福祉業界にも進出して、莫大な資産を築き上げていた。Aには非常に稀なX病という難病に罹った3歳の息子Cがいて、医師からは現在の医療水準では治療法がないと告げられていた。一方、Bは、無免許であるが、天才的外科医として知られ、他では助かる見込みがないとされた難病の患者から高額の治療費を取って手術を行っていた。
2 ある日、週刊誌でAの息子Cの病気に関する記事を読んだBは、Aに電話をかけ、「X病の手術が出来るのは、世界で私しかいない。いま手術を受けないと,息子さんの命は1月ももたないだろう。」と告げ、Cを手術し、成功すれば,10億円を支払うようもちかけた。Aは、別の医師からもCの余命はあと数週間と告知されたこともあり、その申し出に応じ、手術が成功したことを条件に10億を支払うことを約束した。しかしAは内心では、このような違法な手術に10億円の報酬を支払う必要はないと考えていた。BのCへの手術は成功し、BはAに対して10億円を要求したが、Aは、「違法な無免許医療行為を行っていることを警察に告発するぞ。」と告げたので、Bはもう日本国内では無免許医療行為はできなくなると考え、Y国へ出国した。
3 Y国で医師免許を取得したBは、同国での手術実績が国際的に非常に高く評価されたこともあって5年後に日本の国立大学法人O大学医学部に教授として招聘された。Cは、その後X病は完治したが、今度は心臓病に罹患し、緊急に手術が必要な状態になり、O大学病院に入院した。当初執刀は同大学のD准教授が行う予定であったが、AがBによる執刀を希望したので、BはO大学医学部に外部資金として50億円を「寄付」すれば、自分が執刀すると持ちかけた。Aは、同大学に外部資金として50億円を支払い、B教授による手術が行われ、Cは再び一命をとりとめた。 

解説
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by strafrecht_bt | 2013-07-19 07:23 | 刑法演習