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2017年 06月 27日

刑法1(12)

2017.06.27(火)1時限(12):共犯の処罰根拠
【復習問題1】平成20年〔第13問〕(配点:3)学生A、Bは、不能犯の成否の判断基準に関する次のⅠ、Ⅱの【見解】のいずれかを採って後記【事例】について後記【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑦までの( )内から適切な語句を選んだ場合、後記1から5までのうち誤りを含むものはどれか。(解答欄は、[№21])
【見解】Ⅰ. 行為当時に一般人が認識し得た事情を基礎とし、一般人を基準に結果発生の具体的危険性があるか否かの判断による。
Ⅱ. 行為当時に存在したすべての客観的事情を基礎とし、結果発生の具体的危険性があるか否かの判断による。
【事例】甲は、健康な乙を毒殺するため、薬品棚から取り出した毒薬のラベルが付いた容器に入った粉を毒薬と認識してその水溶液を乙に多量に注射したが、同粉は、ラベルに表示された毒薬ではなくブドウ糖であったため乙は死亡しなかった。
【会話】A. 私は、甲の罪責については、①(a. 毒薬・b. ブドウ糖)の水溶液を注射する行為が危険であるかどうかを判断し、甲には殺人未遂罪が成立②(c. する・d. しない)と考える。
B. しかし、A君の見解だと、特定の食物の摂取によりショック死しかねないアレルギー体質を有する乙を、そのことを知った甲が、当該食物を乙に食べさせて殺害しようとした事案で、一般人が乙の体質を認識し得なかった場合には、③(e. 行為当時に存在した全事情を基礎として・f. 行為当時に一般人が認識し得た事情を基礎として)判断することになるから、未遂犯が成立しないこととなり、常識に反する。
A. そのような場合、私の立場でも、④(g. 行為時に行為者が特に認識していた事情・h. 事後的に明らかになった全事情)を考慮すべきと考えるので、B君の言う事案でも未遂犯の成立を認めることができる。それよりも、B君の立場を理論的に徹底すれば、結果が不発生に終わった事案は、ほとんど常に⑤(i. 不能犯・j. 未遂犯)となってしまうのではないか。
B. いや、私の立場であっても、事後的・科学的見地から、実際に存在した事実のほかにどのような事実があれば結果が発生し得たかを検討し、そのような事実が行為時に存在し得る可能性の程度を危険判断に取り込むべきと考える。したがって、前記【事例】でも、単に、⑥(k.ブドウ糖・l. 毒薬)を健康な乙に注射することの危険性を判断するのではなく、毒薬のラベルの付いた容器内にブドウ糖が入っていた原因・経緯なども考慮すべきだ。例えば、その原因・経緯が極めてまれで異常だったという事情は、不能犯を⑦(m. 肯定・n. 否定)する方向に働くと考える。
1. ①a、②c/2. ③f/3. ④g、⑤i/4. ⑥k/5. ⑦m
【復習問題2】2017〔第1問〕(配点:2)次の【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№1])
【見解】間接正犯については,被利用者の行為時に実行の着手を認めるべきである。
【記述】1.【見解】は,実行行為時と実行の着手時期が一致することを要しないとする考え方と矛盾しない。
2.【見解】に対しては,利用者にとって偶然の事情で実行の着手時期を決することになり不合理であると批判できる。
3.【見解】は,離隔犯において到達時に実行の着手を認める考え方と矛盾しない。
4.【見解】に対しては,責任無能力者を利用する場合には,責任無能力者に規範意識の障害がないというだけで,直ちに結果発生の切迫した危険があるとはいえないと批判できる。
5.【見解】は,自然的に観察して結果発生に向けた直接の原因となる行為を重視する考え方と矛盾しない。
【短答問題】(配点:2)次の【事例】に関する後記1から5までの各記述のうち,甲に窃盗罪の従犯の成立を肯定する論拠となり得ないものはどれか。
【事例】甲は,乙又は乙の友人が窃盗罪を犯そうとしていることを知り,その手助けのため,乙に対し,同罪の遂行に必要な道具を貸したところ,さらに,乙はその道具を友人丙に貸し,丙がこれを用いて同罪を犯した。なお,丙には同罪の正犯が成立し,乙にはその従犯が成立するものとする。
1.従犯には独立した犯罪性が認められる。
2.従犯の幇助には,教唆者を教唆した者については正犯の刑を科すとする刑法第61条第2項のような規定がない。
3.共犯は修正された構成要件に該当する行為であるところ,従犯もその構成要件においては「正犯」となる。
4.幇助は正犯を容易にすることであるという定義からすると,幇助行為が直接的になされたか,間接的になされたかは必ずしも問われない。
5.教唆犯に対する幇助行為は従犯として処罰される。

【論文問題】甲は,乙がVに対して暴行を加えていたところに通り掛かり,乙との間で共謀を遂げた上,乙と一緒にVに対して暴行を加えた。Vは,甲の共謀加担前後にわたる一連の暴行を加えられた際に1個の傷害を負ったが,Vの傷害が,甲の共謀加担前の乙の暴行により生じたのか,甲の共謀加担後の甲又は乙の暴行により生じたのかは,証拠上不明であった。甲及び乙の罪責につき論じなさい(特別法違反の点は除く。)


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by strafrecht_bt | 2017-06-27 09:00 | 刑法Ⅰ(総論)