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2017年 07月 04日

刑法1(13)

2017.07.04(火)1時限(13):共犯の従属性:行為共同説と犯罪共同説
【復習問題】 2017〔第19問〕(配点:2)学生A,B及びCは,次の【事例】における甲の罪責について,後記【会話】のとおり検討している。【会話】中の①から⑤までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は, [№34])
【事例】甲は,乙がVに対して暴行を加えていたところに通り掛かり,乙との間で共謀を遂げた上,乙と一緒にVに対して暴行を加えた。Vは,甲の共謀加担前後にわたる一連の暴行を加えられた際に1個の傷害を負ったが,Vの傷害が,甲の共謀加担前の乙の暴行により生じたのか,甲の共謀加担後の甲又は乙の暴行により生じたのかは,証拠上不明であった。
【会話】学生A.私は,共犯は自己の行為と因果関係を有する結果についてのみ責任を負うという見解に立ち,後行者は,共謀加担前の先行者の暴行により生じた傷害結果には因果性を及ぼし得ないと考えます。事例の場合,甲には①(a.暴行罪・b.傷害罪)の共同正犯が成立すると考えます。事例とは異なり,Vの傷害が甲の共謀加担後の甲又は乙の暴行により生じ
たことが証拠上明らかな場合,甲には傷害罪の共同正犯が②(c.成立する・d.成立しない)と考えます。
学生B.A君の見解に対しては,甲に対する傷害罪の成立範囲が③(e.狭く・f.広く)なり過ぎるとの批判が可能ですね。
学生C.私は,事例の場合には,同時傷害の特例としての刑法第207条が適用され,甲は,Vの傷害結果について責任を負うと考えます。その理由の一つとして,仮に甲が乙と意思の連絡なく,Vに暴行を加えた場合に比べ,事例における甲が④(g.不利・h.有利)に扱われることになるのは不均衡であると考えられることが挙げられます。
学生B.乙には,甲の共謀加担前後にわたる一連の暴行の際にVに生じた傷害結果についての傷害罪が成立するのであり,傷害結果について責任を負う者が誰もいなくなるわけではないということは,C君の⑤(i.見解に対する批判・j.見解の根拠)となり得ますね。
1.①a ②c ③e ④h ⑤i/2.①b ②d ③f ④g ⑤j/3.①a ②c ③f ④g ⑤j/4.①b ②c ③e ④h ⑤i/5.①a ②c ③e ④g ⑤j

【確認問題】共犯の従属性には、①(  )従属性、②(  )従属性及び③(   )従属性の3つの問題がある。教唆の未遂は①の従属性に、行為共同説/犯罪共同説は③の従属性に関連した問題である。

【短答問題】2017年〔第15問〕(配点:2)次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[№26])
1.甲が乙に対し,深夜の公園で待ち伏せしてAから金品を喝取するように教唆したところ,乙は,その旨決意し,深夜の公園でAを待ち伏せしたが,偶然通り掛かったBをAと誤認してBから金品を喝取した。乙は,人違いに気付き,引き続きAを待ち伏せして,通り掛かったAから金品を喝取しようとしてAを脅迫したが,Aに逃げられてしまい金品を喝取することができなかった。甲にはAに対する恐喝未遂罪の教唆犯のみが成立する。
2.甲が乙に対し,Aをナイフで脅してAから金品を強取するように教唆したところ,乙は,その旨決意し,Aをナイフで脅したが,その最中に殺意を抱き,Aの腹部をナイフで刺してAに傷害を負わせ,Aから金品を強取したものの,Aを殺害するには至らなかった。甲には強盗罪の教唆犯が成立するにとどまる。
3.甲が乙に対し,留守宅であるA方に侵入して金品を窃取するように教唆したところ,乙は,その旨決意したが,B方をA方と誤認してB方に侵入し,その場にいたBから金品を強取した。
甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。
4.甲が乙に対し,現住建造物であるA家屋に放火するように教唆したところ,乙は,その旨決意し,A家屋に延焼させる目的で,A家屋に隣接した現住建造物であるB家屋に放火したが,B家屋のみを焼損し,A家屋には燃え移らなかった。甲にはA家屋に対する現住建造物等放火未遂罪の教唆犯のみが成立する。
5.甲は,土建業者AがB市発注予定の土木工事を請け負うためB市役所土木係員乙に現金を供与しようと考えていることを知り,乙に対し,Aに工事予定価格を教える見返りとしてAから現金を受け取り,Aに工事予定価格を教えるように教唆したところ,乙は,その旨決意し,Aとの間で,Aに工事予定価格を教える旨約束して,Aから現金100万円を受け取ったが,その後,工事予定価格を教えなかった。甲には加重収賄罪の教唆犯が成立する。

【論文問題】甲は,自己の取引先であるA会社の倉庫には何も保管されていないことを知っていたにもかかわらず,乙の度胸を試そうと思い,何も知らない乙に対し,「夜中に,A会社の 倉庫に入って,中を探して金目の物を盗み出してこい。」と唆した。乙は,甲に唆されたとおり,深夜,その倉庫の中に侵入し,倉庫内を探したところ,A会社がたまたま当夜 に限って保管していた同社所有の絵画を見付けたので,これを手に持って倉庫を出て、逃亡した。


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by strafrecht_bt | 2017-07-04 09:00 | 刑法Ⅰ(総論)