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2014年 01月 02日

【246条注釈】詐欺罪

「刑法」明治四十年四月二十四日法律第四十五号
【条文】
第37章 詐欺及び恐喝の罪
第246条 (詐欺)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

【最近の文献】(1)2014年:門田成人「暴力団員ではないと装った銀行口座開設と詐欺罪の成否[最高裁平成26.4.7決定]」法学セミナー59巻7号133頁
服部弘志「暴力団員のプレーで最高裁が出した相反する二つの判決 暴力団員であることを秘したゴルフプレーの詐欺罪の正否に関する相反する最高裁判決とゴルフ場の事業者がとるべき対応について[最高裁平成26.3.28判決 最高裁平成26.3.28決定] 」月刊ゴルフマネジメント 35(382), 78-83, 2014-06
香月裕爾「反社会的勢力によるゴルフ場利用・預金口座開設と詐欺罪の成否 : 最高裁平成26年3月28日判決・同日決定および4月7日決定の実務的影響」 NBL1024号5-9頁
佐藤 剛 「他人になりすまして住民基本台帳カードを不正に入手した行為について詐欺罪の成立が認められた事例[福岡高裁平成24.4.20判決] 」警察学論集67巻5号173-184頁
福嶋 一訓 「東京高判平25.9.4 : 自己名義口座から振り込め詐欺被害金を払い戻す行為につき,自己の口座が犯罪行為に利用されていることを知った場合にはその旨を銀行に告知すべき信義則上の義務があるとして,詐欺罪の成立を認めた事例」警察公論69巻5号88-95頁
川口 浩一「刑事法学の動き・星周一郎「詐欺罪と『詐欺隣接罰則』の罪数関係」法律時報86巻5号154-158頁
松宮孝明「刑事法学の動き 裵美蘭「詐欺罪における財産上の損害」 法律時報 86巻2号118-121頁
大山徹 「第三者に無断譲渡する意図を秘匿して携帯電話機販売店から2回にわたりプリペイド式携帯電話機合計8台を取得した事案につき、詐欺未遂罪の成立が認められた事例[東京高裁平成24.12.13判決] 」刑事法ジャーナル 39号93-100頁
田山聡美「他の者を搭乗させる意図を秘し、航空会社の搭乗業務を担当する係員に外国行きの自己に対する搭乗券の交付を請求してその交付を受けた行為が、詐欺罪に当たるとされた事例[最高裁平成22.7.29決定](2014年) 判例時報2202号 (判例評論659号) 181-185頁
(2)2013年:渡辺 靖明 「ドイツ刑法における詐欺罪と恐喝罪との競合問題」 横浜法学 22(2), 29-86, 2013-12-25
白鳥 智彦 「第三者に無断譲渡する意図を秘して携帯電話機販売店から自己名義でプリペイド式携帯電話機を購入する行為について,被欺罔者が錯誤に陥ったとは認められず,欺罔行為にも当たらない旨判示した原判決を破棄し,被欺罔者が錯誤に陥ったと認めるには合理的疑いは残るとしながら,第三者に無断譲渡する意図を秘して自己名義で携帯電話機の購入等を申し込む行為は,詐欺罪にいう欺罔行為に当たるとして,詐欺未遂罪の成立を認めた事案[東京高裁平成24.12.13判決] 」捜査研究 62(10), 2-12, 2013-10
安井 哲章 「誤振込みと詐欺罪」法學新報 120(5/6), 55-88, 2013-10
設楽裕文・淵脇千寿保「第三者を搭乗させる意図を秘して自己に対する搭乗券の交付を受ける行為と詐欺罪[最高裁平成22.7.29決定] 」日本法學 79(2), 453-484, 2013-09
渡辺 靖明「詐欺罪と恐喝罪との関係をめぐる考察 : 「虚喝」と「財産交付罪」の立法史的研究」横浜国際社会科学研究 18(3), 13-33, 2013-09
佐瀬 恵子「詐欺罪における財産的損害」 (創価大学)通信教育部論集 16, 106-125, 2013-08-11
三上 正隆 「動物殺傷事案において,詐欺罪及び動物殺傷罪(動物愛護管理法44条1項)の成立が認められ,懲役3年,保護観察付き執行猶予5年の判決が言い渡された事例[横浜地裁川崎支部平成24.5.23判決] 」愛知学院大学論叢. 法学研究 54(3・4), 117-132, 2013-08
茂木 潤子「プリペイド式携帯電話を第三者に無断譲渡する意図を秘して自己名義で購入した事案につき,原審が,被害者は誤信しておらず欺罔行為も認められないとして無罪としたのに対し,被害者が誤信したことを認めるには合理的な疑いが残るとしながらも,第三者に無断譲渡する意図を秘して自己名義で携帯電話機の購入等を申し込む行為は,詐欺罪の欺罔行為に該当するとして,詐欺未遂罪の成立を認めた事案(上告)[東京高裁平成24.12.13判決]」 Keisatsu koron 68(7), 87-95, 2013-07
門田成人「詐欺罪の適用範囲と罪刑法定原則・適正処罰原則[東京高裁平成24.12.13判決] 」法学セミナー 58(7), 113, 2013-07
飯島 泰「いわゆるプリペイド式携帯電話機を第三者に無断譲渡する意図を秘して自己名義で購入した事案において、携帯電話不正利用防止法上契約者本人が当該電話機を利用すべきことが要請されているなどとして、詐欺罪が成立し得るとされた事例(認定罪名:詐欺未遂)[東京高等裁判所平成24.12.13判決]」警察学論集 66(6), 154-168, 2013-06
松原芳博「刑法各論の考え方・詐欺罪・その1~3」法学セミナー699号(2013年)96-102頁、700号(2013年)108-115頁、701号(2013年)96-102頁
星周一郎「詐欺罪と「詐欺隣接罰則」の罪数関係」法学会雑誌 53巻2号(2013年) 111-150頁
塩見淳「不法原因給付と詐欺罪・横領罪(刑法の道しるべ・第9回)」法学教室 (388), 83-90, 2013年
足立友子「詐欺罪における『欺罔」と「財産的損害」をめぐる考察―損害概念の多義性と中間結果としての錯誤に着目して―」理論刑法学6
松宮孝明「暴力団員のゴルフ場利用と詐欺罪」斉藤豊治古稀147頁以下
(2)2012年:松宮孝明「虐待目的を隠して猫を譲り受けた行為と詐欺罪[横浜地裁川崎支部平成24.5.23判決]」法学セミナー 57(12), 131, 2012年/林幹人「預金についての民法と刑法 : 最高裁平成15.3.12決定、最高裁平成20.10.10判決を契機として」判例時報2141号(2012年) 21-25頁/星周一郎「不正受給罪と詐欺罪 : 補助金・給付金等の不正取得に関する処罰規定の意義」法学会雑誌 52(2), 197-234, 2012年/上嶌一高「最近の裁判例に見る詐欺罪をめぐる諸問題」刑事法ジャーナル 31, 12-22, 2012年
(3)その他:佐伯仁志「刑法各論の考え方・楽しみ方・詐欺罪(1)(2)」法学教室372号106-115頁、373号112-120頁(2011年)
(1990年代までの学説については中山・アブストラクト3版535頁以下)
【注釈】
1.詐欺罪の基本的性格と保護法益
「詐欺罪は移転罪であるが、占有者の意思に基づく占有移転を要件とする交付罪であり、財物のみならず、財産上の利益を客体とする個別財産に対する罪である。」(山口311)
(1)欺罔手段の特質(信義誠実・財産行使の自由・真実に関する権利等も保護法益に含まれるか)
(2)財産的損害の要否(相当対価物:コア・具体的事例)
(3)国家的法益と詐欺罪の成否(国家・地方公共団体を相手方とする詐欺罪;コア・具体的事例)
2.財物詐欺罪(騙取罪):1項
(1)客体
証明書など文書の不正取得(コア・具体的事例)
(2)行為
(イ)欺く(欺罔行為の意義:コア・具体的事例)
不作為による詐欺(積極的に虚偽事実を告げずに取引を行う詐欺:コア・具体的事例)
(ロ)騙取(交付行為の要件:コア)
三角詐欺(コア・具体的事例)
(3)既遂と未遂
(4)罪数
3.利益詐欺罪(詐欺利得罪):2項
(1)客体
利得の意義(コア・具体的事例)
(2)処分行為(コア)
 (イ)不作為による処分行為
 (ロ)無意識の処分行為(コア・具体的事例)
(3)無銭飲食・宿泊
(4)キセル乗車
4.詐欺罪の共通問題
(1)1項詐欺と2項詐欺の関係
(2)権利行使と詐欺罪
(3)不法原因給付と詐欺罪(コア・具体的事例)
①「不法な取引を装って財物を交付させた場合」
X(女)が売春をするつもりがないのにA(男)に対して売春すると偽り、売淫料をAから騙取した場合(松原96〔事例30〕)
②「不法な取引を装って役務を提供させた場合」
X(男)が売淫料を支払う意思がないのに支払うと偽り、A(女)に売春をさせた場合(松原96〔事例31〕)
③「不法な契約によって生じた債務の免脱」
売淫料を支払う約束で性交した後に、X(男)がA(女)を欺罔して売淫料の支払を免れた場合(松原96〔事例32〕)
民法90条(公序良俗)
同708条本文(不法原因給付)
同但し書




コアカリキュラム
【その他の文献】
渡辺靖明「詐欺罪における実質的個別財産説の錯綜」横浜国際経済法学 20(3), 121-174, 2012年
佐瀬恵子「詐欺罪についての一考察 : クレジットカードの不正使用と詐欺罪について」創価法学 42(1・2), 241-261, 2012年
木村光江「イギリス2006年詐欺罪法と詐欺罪処罰の変化」研修 (769), 3-18, 2012年
裴美蘭「詐欺罪における財産上の損害」法政研究 78(4), 1248-1192, 2012年
照沼亮介「ドイツにおける詐欺罪の現況」刑事法ジャーナル 31, 29-36, 2012年
足立友子「詐欺罪における欺罔行為について(一) : 詐欺罪の保護法益と欺罔概念の再構成」名古屋大學法政論集 208, 97-144, 2005年
「詐欺罪における欺罔行為について (二) : 詐欺罪の保護法益と欺罔概念の再構成」名古屋大學法政論集 211, 137-181, 2006年
「詐欺罪における欺罔行為について (三) : 詐欺罪の保護法益と欺罔概念の再構成」名古屋大學法政論集 212, 349-379, 2006年
「詐欺罪における欺罔行為について (四) : 詐欺罪の保護法益と欺罔概念の再構成」名古屋大學法政論集 214, 329-363, 2006年
「詐欺罪における欺罔行為について (五・完) : 詐欺罪の保護法益と欺罔概念の再構成」名古屋大學法政論集 215, 391-423, 2006年

by strafrecht_bt | 2014-01-02 20:30 | 刑法注釈


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