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2014年 08月 31日

2012年予備試験短答式問題

2012年短答式試験問題集
[刑法]
★〔第1問〕(配点:2)
次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合,甲に窃盗罪が成立しないものはどれか。(解答欄は,[№1])
1.甲は,コンビニエンスストアでレジ係のアルバイトをしていたが,店長の乙が短時間外出していた間に,商品棚からたばこ1カートンを取り出して自分のバッグに入れ,アルバイト終了後店外へ持ち出し,これを自分のものにした。
2.甲は,旅館に宿泊した際,旅館内にある共同浴場の脱衣場で,他の宿泊客が置き忘れた時計を見付けたので,脱衣場から持ち出し,これを自分のものにした。
3.甲は,深夜,路上を歩いていたところ,見知らぬ乙と丙が殴り合いのけんかをしていたので,これを見ていると,乙がナイフを取り出して丙を刺し殺した。甲は,乙が走り去った直後,死亡した丙の上着のポケット内に入っていた現金入りの財布を持ち去り,これを自分のものにした。
4.甲は,乙から封かんされた現金10万円入りの封筒を渡されて丙に届けるように依頼され,丙方に向かって歩き始めたが,途中で封筒内の現金が欲しくなり,封を開いて封筒に入っていた現金のうち2万円を取り出してこれを自分のものにした後,残りの現金が入った封筒を丙に交付した。
5.甲は,乙が他の者から盗んできた宝石を乙所有の自動車の中に置いているのを知っていたところ,ある日,同車が無施錠で駐車されているのに気付き,同車内から同宝石を持ち去り,これを自分のものにした。
〔第2問〕(配点:2)
正当防衛に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№2])
1.刑法第36条にいう「急迫」とは,法益が侵害される危険が切迫していることをいい,被害の現在性を意味するものではない。
2.刑法第36条にいう「不正」とは,違法であることを意味し,侵害が全体としての法秩序に反することをいう。
3.刑法第36条にいう「権利」は個人的法益を指し,国家的法益や社会的法益は含まれない。
4.侵害者に対する攻撃的な意思を有していたとしても,防衛の意思が認められる場合がある。
5.けんか闘争において正当防衛が成立するかどうかを判断するに当たっては,闘争行為中の瞬間的な部分の攻防の態様のみに着眼するのではなく,けんか闘争を全般的に観察することが必要である。
〔第3問〕(配点:3)
放火罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№3],[№4]順不同)
1.甲は,日頃恨みを持っていたVの所有する自動車が止めてある駐車場に出向き,同車にガソリンをかけて火をつけ,同車を焼損させたところ,同駐車場に駐車されていた第三者が所有する自動車10台に延焼する危険が生じたものの,駐車場が住宅地から離れていたため,住宅その他の建物に延焼する危険は生じなかった。甲には建造物等以外放火既遂罪は成立しない。
2.甲は,周囲に他の住宅のない場所に空家を所有する乙から,同家屋に付された火災保険金をだまし取る計画を持ちかけられ,これに応じることとし,同家屋に立て掛けてあった薪に灯油をかけて火をつけたところ,火は同家屋の取り外し可能な雨戸に燃え移ったが,たまたま降り出した激しい雨によって鎮火した。甲には他人所有非現住建造物等放火未遂罪が成立するにとどまる。
3.甲は,深夜,本殿・祭具庫・社務所・守衛詰所が木造の回廊で接続され,一部に火を放てば他の部分に延焼する可能性がある構造の神社の祭具庫壁付近にガソリンをまいてこれに火をつけた。その結果,無人の祭具庫は全焼したものの,Vらが現在する社務所・守衛詰所には,火は燃え移らなかった。甲には現住建造物等放火既遂罪が成立する。
4.甲は,日頃恨みを持っていたVが居住するマンション内部に設置されたエレベーターのかご内に,ガソリンを染み込ませて点火した新聞紙を投げ入れて放火し,エレベーターのかごの内部を焼損させた。甲には現住建造物等放火未遂罪が成立するにとどまる。
5.甲は,妻所有の一戸建て木造家屋に妻と二人で暮らしていたところ,ある日,同家屋内において,口論の末に激高して妻を殺害し,その直後に犯跡を隠すため,同家屋に火をつけて全焼させたが,周囲の住宅には燃え移らなかった。甲には現住建造物等放火既遂罪が成立する。
〔第4問〕(配点:3)
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,甲に( )内の犯罪の共同正犯が成立する場合には1を,教唆犯又は幇助犯が成立する場合には2を,間接正犯が成立する場合には3を選びなさい。(解答欄は,アからオまでの順に[№5]から[№9])
ア.甲は,甲の所属する暴力団事務所にVを連行し,同事務所において3日間,Vを逃走できないように見張って監禁し,その後,同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見張れ。」と言った。乙は,これを了承し,4日目から前記事務所においてVを逃走できないように見張って監禁した。5日目に乙が居眠りをした隙に,Vは,前記事務所の窓から外に飛び降りて逃げ出したが,飛び降りた際,右足首を骨折した。(監禁致傷罪)[№5]
イ.甲は,乙が自宅で賭博場を開張して利益を得ていることを知り,乙の役に立とうと考え,乙に連絡することなく,乙の開張する賭博場にA及びBを誘引し,賭博をさせた。(賭博場開張図利罪)[№6]
★ウ.甲は,常日頃暴行を加えて自己の意のままに従わせていた実子の乙(13歳)に対し,Vが管理するさい銭箱から現金を盗んでくるように命じ,乙は,是非善悪の識別能力及び識別に従って行動を制御する能力を有していたが,甲の命令に従わなければまた暴力を振るわれると畏怖し,意思を抑圧された状態で,前記さい銭箱から現金を盗んだ。(窃盗罪)[№7]
エ.甲は,知人乙から,交際相手であるVを殺害したいので青酸カリを入手してほしいと依頼され,自らもVに恨みを抱いていたことから,青酸カリを準備して乙に交付した。乙は,甲から青酸カリを受領した後,実行行為に出る前にV殺害を思いとどまり,警察署に出頭した。(殺人予備罪)[№8]
★オ.甲は,乙から,乙がV方に強盗に入る際に外で見張りをしてほしいと頼まれ,利益を折半する約束でこれを承諾し,乙と共にV方に赴いた。甲がV方の外で見張りをしている間に,乙はV方に侵入した。その後,甲は,不安になり,携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。俺は逃げる。」と告げた上,その場から逃走した。乙は,甲の逃走を認識した後,V方内にいたVを発見し,同人に包丁を突き付けてその反抗を抑圧した上,現金を強取した。(強盗罪)[№9]
〔第5問〕(配点:2)
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,甲に乙又は乙社に対する脅迫罪が成立するものの組合せは,後記1から7までのうちどれか。(解答欄は,[№10])
ア.甲は,乙に対し,乙の妻の実兄である丙を殺害する旨告知し,乙は丙が殺されるかもしれない旨畏怖した。
イ.甲は,乙株式会社総務課長丙に対して,乙社の商品不買運動を行って乙社の営業活動を妨害する旨告知し,丙は,乙社の営業活動が妨害されるかもしれない旨畏怖した。
ウ.甲は,インターネット上の掲示板に乙が匿名で行った書き込みに対し,同掲示板に「そんな投稿をするやつには天罰が下る。」旨の書き込みを行い,これを閲読した乙は,小心者だったことから,何か悪いことが起こるかもしれない旨畏怖した。
エ.甲は,口論の末,乙に対し,「ぶっ殺すぞ。」と怒号した。この様子を見ていた周囲の人たちは,甲が本当に乙を殺害するのではないかと恐れたが,乙は剛胆であったため畏怖しなかった。
オ.甲は,単身生活の乙に対し,「乙宅を爆破する。」旨記載した手紙を投函し,同手紙は乙方に配達されたが,同手紙には差出人が記載されていなかったことから,不審に思った乙は同手紙を開封しないまま廃棄した。
1.アイ2.アウ3.アエ4.イエ5.イオ
6.ウエ7.ウオ
〔第6問〕(配点:3)
次の【事例及び裁判所の判断】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№11])
【事例及び裁判所の判断】
被告人ら複数名が,被害者に対し,マンションの居室内において,長時間にわたって激しい暴行を加えたところ,被害者が,隙を見て同居室から逃走した上,被告人らに極度の恐怖感を抱き,その追跡から逃れるため,逃走を開始してから約10分後,上記マンションから約800メートル離れた高速道路内に進入し,疾走してきた自動車に衝突されて死亡したという傷害致死被告事件において,裁判所は,「被害者が逃走しようとして高速道路に進入したことは,危険な行為ではあるが,被害者は,被告人らの激しい暴行を受けて極度の恐怖感を抱き,必死に逃走を図る過程で,とっさにそのような行動を選択したものと認められ,その行動が,被告人らの暴行から逃れる方法として,著しく不自然,不相当であったとはいえない。そうすると,被害者が高速道路に進入して死亡したのは,被告人らの暴行に起因するものと評価することができるから,被告人らの暴行と被害者の死亡との間の因果関係は肯定することができる。」旨の判断を示した。
【記述】
1.この裁判所の考え方によれば,上記事例において,高速道路内に進入する以外に被害者にとって容易にとり得る他の安全な逃走経路があり,そのことを被害者が認識していたにもかかわらず,あえて被害者が高速道路に進入した場合には,因果関係を否定する判断に結び付きやすいといえる。
2.この裁判所の考え方は,被告人らの行為の危険性が現実化したか否かという観点から,逃走した被害者の行動が,被告人らの暴行による心理的・物理的な影響に基づくか否かを検討することによって,因果関係の存否を判断しているものと評価することも可能である。
3.この裁判所の考え方によれば,上記事例において,被告人らが被害者に加えた暴行が短時間かつ軽微なもので,被害者も強い恐怖感を抱かなかった場合には,因果関係を否定する判断に結び付きやすいといえる。
4.この裁判所の考え方は,被告人らの行為と被害者の死亡の結果との間に事実的なつながり(条件関係)が存在することを前提にした上で,被告人らの行為の後に被害者による危険な逃走行為が介在した場合における因果関係の存否を判断していると評価することも可能である。
5.この裁判所の考え方によれば,上記事例において,被害者が暴行を受けたマンションの居室から逃げ出し,同マンションに面した一般道路に慌てて飛び出したところ,自動車に衝突されて死亡したという場合であれば,因果関係を否定する判断に結び付きやすいといえる。
★〔第7問〕(配点:2)
次の【事例】に関する後記1から5までの各【記述】を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[№12],[№13]順不同)
【事例】
甲と乙は,V経営の食料品店で買った弁当を食べたら食中毒になった旨の嘘を言って因縁を付けてVを脅迫するとともに,同人に軽度の暴行を加え,これらの暴行・脅迫により同人を畏怖させて,損害賠償金の名目で50万円を支払わせ,これを分配することを計画した。乙は,計画に従い,同店に行き,Vに対し,「この店の弁当を食べたら食中毒になった。店の営業を続けたければ50万円払え。払わないと,この店の弁当で食中毒になったと書いたビラをばらまくぞ。」と語気鋭く申し向けた上,Vの額を手の平で軽くたたいた。Vは,これをよけようとした際,バランスを崩して転倒し,全治約1週間を要する後頭部打撲の怪我を負った。
Vは,乙が食中毒になったことは嘘であると気付いたが,乙の要求に応じないと,更に暴力を振るわれたり,店を中傷するビラをまかれるかもしれないと畏怖し,手持ちの現金30万円を乙に渡し,残りの20万円は翌日支払うことで乙を納得させた。
乙は,同店を出て,甲と会い,前記経緯を説明した上,Vから受け取った30万円のうち15万円を分け前として甲に渡した。
乙は,翌日,同店を訪れてVから残りの20万円を受け取ろうとしたが,通報を受けた警察官が同店近くにいたので,20万円の受取は断念した。
乙は,甲に事前に相談することなく,腹いせに,「V経営の食料品店で買った弁当を食べた客が食中毒になった。」という虚偽の事実が書かれたビラを多数の者に配った。
なお,甲は,乙がVに怪我を負わせることや前記ビラを配ることを予想していなかった。
【記述】
1.Vに怪我を負わせたことについて,甲には,傷害罪は成立しない。
2.Vに怪我を負わせたことについて,乙には,傷害罪が成立する。
3.Vに30万円を交付させたことについて,甲及び乙には,恐喝既遂罪が成立する。
4.虚偽のビラを配ったことについて,甲には,信用毀損罪も業務妨害罪も成立しない。
5.乙から15万円を受け取ったことについて,甲には,盗品等無償譲受け罪が成立する。

〔第8問〕(配点:2)
次のアからエまでの各事例を判例の立場に従って検討し,成立する犯罪が【】内の罪数関係にある場合には1を,【 】内の罪数関係にない場合には2を選びなさい。(特別法犯は除く。解答欄は,アからエまでの順に[№14]から[№17])
ア.公務員が,電化製品を盗品であると知りながら,賄賂として収受した。【観念的競合】[№14]
★イ.連日,駅前で募金箱を持ち,真実は募金を難病の子供のために使うつもりはなく,自己のために費消するつもりであるのにそれを隠して,「難病の子供を救うため,募金をお願いします。」と連呼し,多数回にわたり,不特定多数の通行人からそれぞれ少額の金員をだまし取った。【包括一罪】[№15]
★ウ.他人のキャッシュカードを盗み,これを使って銀行の現金自動預払機から預金を引き出した。【併合罪】[№16]
★エ.自動車を盗み,これを売却した。【牽連犯】[№17]
〔第9問〕(配点:2)
犯人蔵匿罪又は犯人隠避罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から7までのうちどれか。(解答欄は,[№18])
ア.甲は,窃盗罪を犯して逃走中の友人乙及び丙をその事情を知りながら自宅にかくまった。その時点で,警察は,乙に対する捜査を開始していたが,丙が乙の共犯であることについては把握していなかった。甲には,乙をかくまったことについて犯人蔵匿罪が成立するが,丙をかくまったことについて同罪は成立しない。
イ.甲は,乙が強制執行妨害目的財産損壊罪を犯したことを認識した上で乙をかくまったが,同罪の刑が罰金以上であることを知らなかった。甲には犯人蔵匿罪が成立する。
ウ.甲は,殺人罪を犯して逮捕勾留された乙に依頼され,乙の身代わり犯人として警察署に出頭し,自己が犯人であるという嘘の申告をした。甲には犯人隠避罪が成立する。
エ.甲は,強盗罪を犯した後,友人乙に事情を話して唆し,自己を隠避させた。甲には犯人隠避罪の教唆犯は成立しない。
オ.甲は,乙につき,傷害罪で逮捕状が発付されていることを知りながら,乙をかくまった。その後,乙は犯罪の嫌疑が不十分であるという理由で不起訴処分となった場合,甲には犯人蔵匿罪は成立しない。
1.アイ2.アウ3.イウ4.イエ5.ウエ
6.ウオ7.エオ
〔第10問〕(配点:2)
責任能力に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№19])
ア.犯行時に14歳未満であっても,公訴を提起する時点で14歳に達していれば,刑事責任能力が認められる。
イ.犯行時に成年に達していても,犯行時の知能程度が12歳程度であった場合には,刑事未成年者に関する刑法第41条が準用される。
ウ.犯行時に心神耗弱の状態にあったと認められれば,刑が任意的に減軽される。
エ.犯行時に事物の是非善悪を弁識する能力が著しく減退していても,行動を制御する能力が十分に保たれていれば,完全責任能力が認められることがある。
オ.飲酒当初から飲酒後に自動車を運転する意思があり,実際に酩酊したまま運転した場合,運転時に飲酒の影響により心神耗弱の状態であっても,完全責任能力が認められることがある。
1.1個2.2個3.3個4.4個5.5個
〔第11問〕(配点:2)
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№20],[№21]順不同)
1.甲は,V女を強姦した後,同女から金品を奪う意思を生じ,同女に更なる暴行・脅迫を加え,その反抗を抑圧して同女の財布を奪った。甲には強盗強姦既遂罪は成立しない。
2.甲は,V女に暴行を加えてその反抗を著しく困難にさせた上で姦淫しようと思い,同女の顔面を1回殴ったところ,同女に逃げられ,姦淫することはできなかったが,前記殴打行為により同女に全治約1か月間を要する鼻骨骨折の傷害を負わせた。甲には強姦未遂罪と傷害罪が成立し,両罪は観念的競合となる。
3.甲は,強姦するために反抗を著しく困難にする程度の暴行をV女に加えたところ,その暴行により同女が脳震とうを起こして失神した。甲は失神した同女を姦淫した。甲には準強姦既遂罪が成立する。
4.甲は,13歳のV女を12歳であると誤信したまま,暴行・脅迫を加えることなく同女を姦淫した。甲には強姦既遂罪は成立しない。
5.甲は,強姦するため,殺意をもってV女に強度の暴行を加え,同女の反抗を抑圧した上で同女を姦淫し,同暴行により,同女を死亡させた。甲には強姦致死罪のみが成立する。
〔第12問〕(配点:3)
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[№22],[№23]順不同)
1.甲は,Aを川の中に突き落として溺死させようと思い,橋の側端に立っていたAを突き飛ばしたところ,Aは落下する途中で橋脚に頭部を強打して即死した。甲には殺人既遂罪が成立する。
2.甲は,乙に対し,Aを殺害するよう唆したところ,乙は,その旨決意し,夜道で待ち伏せした上,歩いてきた男をAだと思って包丁で刺し殺したが,実際には,その男はBであった。甲には殺人既遂罪の教唆犯が成立する。
3.甲は,隣人Aの居宅の玄関前に置いてあった自転車を,Aの所有物と認識して持ち去ったが,実際には,同自転車は無主物だった。甲には遺失物等横領罪が成立する。
4.甲は,駐車場に駐車中のA所有の自動車を見て,Aに対する腹いせに傷つけてやろうと思って石を投げたが,狙いがそれて,その隣に駐車中のB所有の自動車に石が当たってフロントガラスが割れた。甲には器物損壊罪が成立する。
5.甲は,乙との間で,Aに暴行を加えることを共謀したところ,乙は,Aに対して暴行を加えている最中に興奮のあまり殺意を生じ,Aを殺害してしまった。甲には傷害罪の共同正犯が成立するにとどまる。
★〔第13問〕(配点:2)
詐欺罪又は恐喝罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているものを全て選んだ場合の組合せは,後記1から7までのうちどれか。(解答欄は,[№24])
ア.甲は,交通事故を装い保険会社から保険金をだまし取ろうと企て,自己の運転する自動車を道路脇の電柱に衝突させて自ら怪我をした。この場合,甲には,自動車を電柱に衝突させた時点で,詐欺未遂罪が成立する。
イ.甲は,警察官でないのに警察官を装い,窃盗犯人である乙に対し,「警察の者だが,取り調べる必要があるから差し出せ。」などと虚偽の事実を申し向けて盗品の提出を求め,これに応じなければ直ちに警察署に連行するかもしれないような態度を示したところ,乙は,逮捕されるかもしれないと畏怖した結果,甲に盗品を交付した。この場合,甲には,恐喝既遂罪が成立する。
ウ.甲は,無銭宿泊を企て,宿泊代金を支払う意思も能力もないのに,これらがあるように装い,民宿を営む乙に対し,宿泊を申し込んだところ,乙は,他の民宿から甲が無銭宿泊の常習者であることを聞いていたため,甲に宿泊代金支払の意思も能力もないことが分かったが,甲に憐憫の情を抱き,甲を宿泊させた。この場合,甲には,詐欺未遂罪が成立するにとどまる。
エ.甲は,通行中の乙から現金を喝取することを企て,乙に対し,反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫を加えたところ,乙は,甲の脅迫により畏怖し,甲が乙の上着の内ポケットに手を入れて財布を抜き取ることを黙認した。この場合,甲には,恐喝未遂罪が成立するにとどまる。
オ.甲は,偽札を作る意思がないのに,乙に対し,一緒に偽札を作ることを持ちかけた上,偽札を作る機材の購入資金にすると嘘を言って資金の提供を求め,その旨誤信した乙から同資金として現金の交付を受けた。この場合,甲には,詐欺未遂罪も,詐欺既遂罪も成立しない。
1.アイウ2.アエオ3.アオ4.イウ5.イオ6.エ7.エオ

by strafrecht_bt | 2014-08-31 18:12 | 司法試験予備試験


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