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刑法授業補充ブログ

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2014年 06月 23日 ( 5 )


2014年 06月 23日

刑法2(各論)【全体の講義計画】

刑法2(各論)講義(2014/15秋学期)レジュメ
【授業内容】(基本的にコアカリキュラムに沿って授業を行うが,一部順番を入れ替え,追加項目もあり、いくつかの項目は時間外学習にまわした。従来私の講義では教科書・判例集は指定せず講義を行ってきたが、市販の標準的な教科書・判例集を使ってほしいという要望があったので以下の教科書・判例集を指定する(必ず授業の際には持参すること)。
【教科書】山口厚『刑法』(第2版・2011年)
【判例集】西田典之・山口厚・佐伯仁志『判例刑法各論』(第6版・2013年)
*犯罪の分類(法益による分類)
①個人的法益に対する罪
②社会的法益に対する罪
③国家的法益に対する罪
条文の順序(若干の例外あり):③->②->①
*古い教科書などでは、この順序で講義がなされてきたが、現行憲法の価値観(憲法13条参照)/実務的重要性等に鑑み、本講義の順序は①->②->③とする。
①個人的法益に対する罪(第1~9回)->②社会的法益に対する罪(第10~13回)->③国家的法益に対する罪(第14・15回)

第1回 生命に対する罪 (山口204-215頁)
殺人の罪(生命の始期・終期、自殺関与罪との関係、殺人予備)、堕胎の罪、遺棄の罪を論じる。
第2回 身体に対する罪(山口216-229頁)
傷害の罪(傷害の意義、胎児性致死、現場助勢罪、同時傷害の特例)、堕胎の罪、遺棄の罪を論じる。
第3回 自由に対する罪 (山口230-257頁)
逮捕監禁、脅迫、略取誘拐の罪のほか、性的自由に対する罪、住居侵入罪を論じる。
第4回 人格的法益、信用・業務に対する罪(山口258-276頁)
住居を侵す罪、秘密を侵す罪、名誉に対する罪(法益、名誉・侮辱の意義とその区別、真実性の証明)、信用・業務に対する罪(業務の意義、公務執行妨害罪との関係)を論じる。
第5回 財産罪の基本構造 (山口277-290頁)
財産罪の意義・体系・諸類型、財物・財産上の利益の意義、(窃盗罪を中心とした)財産罪の保護法益、占有の意義の意義等について論じる。
第6回 財産罪の諸類型(1)―窃盗・強盗(山口290-310頁)
窃盗の罪と強盗の罪について論じる。強盗の手段としての暴行・脅迫、1項強盗と2項強盗の要件、準強盗、240条(強盗致死傷罪)等につき論じる。
第7回 財産罪の諸類型(2)―詐欺・恐喝 (山口311-329頁)
詐欺の罪と恐喝の罪について論じる。詐欺の成立要件(詐欺行為、錯誤に基づく処分行為、損害の要否等)、1項詐欺と2項詐欺の要件についで、恐喝の成立要件、とくに権利行使と脅迫・恐喝について論じる。
第8回 財産罪の諸類型(3)―横領・背任 (山口330-351頁)
横領罪・背任罪の罪質、横領行為・背任行為の意義、占有の意義、背任における損害の意義などを論じ、横領と背任の区別、横領・背任と共犯について論じる。
第9回 財産罪の諸類型(4)―盗品関与・毀棄 (山口351-365頁)
盗品等関与罪の本質、諸類型、毀棄罪の諸類型と「隠匿」と「毀棄」の関係などを論じる。

第10回 放火の罪 (山口370-380頁)
放火罪の本質(抽象的危険犯・具体的危険犯の意義)、「放火」「焼損」「建造物」の意義などを論じ、放火罪の各類型について、その違いを明確にする。
第11回 風俗に対する罪(山口430-440頁)
特にインターネット上のわいせつ頒布等の罪について論じ、それに関連して他のインターネット(サイバー)犯罪についてもここで論じる。
第12回 偽造罪(1)―文書偽造の罪(山口392-414頁)
偽造罪の意義の理解の前提として、形式主義、実質主義の意義、有形偽造・無形偽造の区別を中心に、「文書」の意義等も論じる。
第13回 偽造罪(2)―通貨・有価証券・印章の偽造・支払用カードの不正作出等(山口387-392、415-429頁)
その他の類型の偽造犯罪について論じる。

第14回 国家の作用に対する罪(1)―公務執行妨害罪・司法作用に関する罪 (山口447-479)
公務執行妨害罪と犯人蔵匿および証拠隠滅の罪を中心に、偽証の罪、虚偽告訴の罪について、特にこれらの罪についての共犯の問題も含めて論じる。
第15回 国家の作用に対する罪(2)-汚職の罪(山口479-494頁)
職権濫用の罪と賄賂の罪を論じる。まず、賄賂罪の本質を論じ、賄賂と職務の意義、職務密接関連行為の意義、賄賂の罪の諸類型について解説する。

by strafrecht_bt | 2014-06-23 14:13 | 刑法Ⅱ(各論)
2014年 06月 23日

2014〔第15問〕(=予備〔第11問〕)(配点:2)「過剰避難」

次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№28])
【事例】
甲は,乙から裁判の証人として請求されてX裁判所から呼出しを受けたところ,証人尋問期日の3日前にその不出頭を懸念した乙から「俺が裁判所まで連れて行くから,証人尋問の日までここにいろ。」と言われ,見張りを付けられてマンションの一室に監禁された。甲は,自己の生命身体に対する危険は感じなかったものの,証人として出廷したくないと思い,同室に放火して騒ぎを起こし,見張りの者が消火に当たっている隙に逃亡しようと考え,同室の壁等に灯油をまいて放火し,同室の一部及びその上階の第三者が住む部屋の一部を焼損させた。
【見解】
A説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,当該行為が危難を避けるための一つの方法と認められれば,法益権衡の要件を欠いても過剰避難が成立する。
B説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,「やむを得ずにした行為」でなくとも法益権衡の要件を充たしていれば過剰避難が成立し,また,「やむを得ずにした行為」であって,法益権衡の要件を欠く場合にも過剰避難が成立する。
C説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難,過剰避難とも認められず,過剰避難は,「やむを得ずにした行為」であって,かつ,法益権衡の要件を欠く場合に成立する。
【記述】
1.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,A説からは甲に過剰避難が成立することになる。
2.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情がある場合,B説からは甲に過剰避難が成立することになる。
3.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
4.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,B説からは甲には緊急避難の成立も過剰避難の成立も認められない。
5.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。

by strafrecht_bt | 2014-06-23 12:11 | 司法試験
2014年 06月 23日

2014〔第13問〕(=予備〔第7問〕(配点:3)「故意」

故意に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№24],[№25]順不同)
【見解】
A説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであり,殺人罪においては,行為者の認識した事実と発生した事実が,およそ「人を殺す」という点で一致していれば故意が認められる。
B説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであるが,殺人罪においては,行為者の認識した事実と発生した事実が,「その人を殺す」という点で一致していなければ故意は認められない。
【記述】
1.A説に対しては,客体の錯誤と方法の錯誤の区別が必ずしも明らかではない場合があり,その場合の故意の有無につき,どのように判断するのか明確ではないとの批判がある。
2.B説に対しては,故意以外の構成要件該当性は法益主体ごとに判断するのに,故意の有無についてのみ法益主体の相違を問題にしないのは論理的でないとの批判がある。
3.侵害が生じた客体に錯誤はないが,侵害に至る因果関係に錯誤がある場合の故意の有無について,A説かB説かによる差はない。
4.駅のホームにいた人を甲だと思い,甲を殺そうと考え,電車が近づいてきたときにその人をホームから突き落としてれき死させたところ,その人が甲ではなく,別人の乙であった場合,A説・B説のいずれによっても,乙に対する殺人罪の故意が認められることになる。
5.狩猟中,動く物体を見付け,これを日頃から恨みを抱いていた甲だと思い,甲を殺そうと考え,その動く物体を狙って猟銃を発砲し,これに弾丸を命中させたが,実際に弾丸が命中したのは,甲ではなく,甲の飼い犬であった場合,A説によれば器物損壊罪の故意が認められ,B説によれば同罪の故意が認められないことになる。

by strafrecht_bt | 2014-06-23 12:07 | 司法試験
2014年 06月 23日

2014〔第11問〕(配点:3)罪数

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№21],[№22]順不同)
1.甲は,乙に対し,丙の日本刀を盗んでくれば高値で買ってやると申し向け,乙が盗んできた日本刀を買い受けた。甲には,窃盗教唆罪及び盗品等有償譲受け罪が成立し,これらは併合罪となる。
2.甲は,乙が強盗を行うつもりであることを知りながら,乙に模造拳銃1丁を貸し与えたところ,乙は,2店のコンビニエンスストアで,同模造拳銃を使ってそれぞれ強盗を行った。甲には,2個の強盗幇助罪が成立し,これらは併合罪となる。
3.甲は,乙を殺害する目的で乙が居住する家に侵入し,乙及び偶然その場に居合わせた丙をそれぞれ殺害した。甲には,乙に対する住居侵入罪及び殺人罪が成立し,これらは牽連犯となり,これと丙に対する殺人罪が併合罪となる。
4.甲は,強盗の目的で,路上を連れ立って歩いていた乙及び丙に対し,包丁の刃先を両名の方に向けながら「お前ら金を出せ。出さないと殺すぞ。」と言って脅迫し,両名からそれぞれ現金を奪った。甲には,2個の強盗罪が成立し,これらは併合罪となる。
5.甲は,恐喝の手段として乙を監禁し,乙から現金を喝取した。甲には,監禁罪及び恐喝罪が成立し,これらは併合罪となる。

正解と解説

by strafrecht_bt | 2014-06-23 12:03 | 司法試験
2014年 06月 23日

2014〔第9問〕(配点:2)実行の着手

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№15])
1.甲は,電話線を盗む目的で,電柱に架設されていた電話会社所有の電話線を切断しているところを警察官に発見された。甲には窃盗罪の実行の着手が認められる。
2.甲は,深夜,金品窃取の目的で電器店に侵入し,懐中電灯で真っ暗な店内を照らしたところ,陳列棚に電気器具類があることを認識したが,なるべく現金を盗みたいと思い,歩いてレジの前に至ったところで警備員に発見された。甲には窃盗罪の実行の着手が認められる。
3.甲は,夜間,一人で歩いていたV女を見付け,約5キロメートル先のひとけのない工事現場にV女を連れ込んで強姦することを決意し,V女を殴って失神させた上,近くに停めていたダンプカーの助手席にV女を乗せて発進させた。甲には強姦罪の実行の着手が認められる。
4.甲は,X の住んでいる家を焼損する目的で,これと約50センチメートル隔てて隣接している木造物置小屋の中のわらや薪に灯油をまいて放火したが,物置小屋の一部を焼損するにとどまった。甲には現住建造物等放火罪の実行の着手が認められる。
5.甲は,登校中の子供に毒入りジュースを飲ませてこれを殺害する目的で,前日の夜に,夜間は人通りのない通学路に致死量を超える毒を混入させたペットボトル入りのジュースを置いた。甲には殺人罪の実行の着手が認められる。

by strafrecht_bt | 2014-06-23 11:59 | 司法試験