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2016年 04月 25日 ( 1 )


2016年 04月 25日

刑法各論(財産犯)第3回講義:器物損壊罪・窃盗罪(1)

今日は前回の最後に挙げた受精卵の損壊と窃取の事例について議論し、財物の概念の説明を終え、続いて財産上の利益について具体的事例を挙げて説明した。そして今年は毀棄罪を先に説明することにして、毀棄罪の類型を示して建造物損壊罪(260条)、器物損壊罪(261条)を中心にして損壊概念を解説し、特に建造物(公衆トイレ)の落書き事例(最決平成18・1・17、山口・刑法361頁参照)について効用喪失説に基づいても美観が効用に含まれるかどうかは問題で、処罰のためにはドイツ刑法のように特別の規定が必要となるのではないかという見解を示した。また領得罪と毀棄罪の区別問題との関連にも言及した。そのあとで最決昭和61・7・18(山口・刑法285頁注17、288、360頁参照)を例に建造物の「他人性」の意義、民法と刑法の関係について解説した。学部1回生には難しいかもしれないと思ったが講義後、行為時にはまだ詐欺取り消しがなされていなかったのだから、民法上の所有権概念を基準としても他人性を認めてもいいのではないかという鋭い質問があった。以上で毀棄罪の説明を終え、窃盗罪の説明に移り、導入として窃盗罪の保護法益にかかわる窃取されたもの取返し事例をいくつかあげたところで、時間となった。

by strafrecht_bt | 2016-04-25 17:28 | 刑法Ⅱ(各論)